理想の会社を志して

1977年に大和証券に入社して以来、約36年間、金融業に従事してきましたが、この間、「個人投資家」、「外国人投資家」、また、「華僑」や「日本の機関投資家」など、ほとんど全ての種類の投資家と実際にビジネスをすることができました。そして、この時に、いろいろな「学び」をさせて頂きましたが、特に印象的だったことは、「二年間、アメリカの大学院で学んだことが、その後の実践に、ほとんど役立たなかった」ということでした。

具体的には、「MBA」を取得して、アメリカの機関投資家とビジネスを行ったのですが、「為替理論」や「株価予測」など、いろいろな面で、既存の理論が通用しなかったわけです。そのために、「なぜ、このようなことが起きているのか?」を真剣に考えさせられ、また、「過去の歴史」を研究した結果、「1971年のニクソンショック」以降、「世界の通貨制度が、金本位制から信用本位制に変化した」という事実に突き当たったわけでした。しかも、この時以来、「マネーの大膨張」が世界的に始まり、このことが、「MBAの理論が、実践に役立たない理由である」ということを、心から実感した次第でした。

そのために、独自の「マネー理論」や「東洋学を応用したサイクル理論」などを構築することにより、「2000年」から、運用の世界へ転身しましたが、このキッカケとなったのが、「デリバティブの残高が8000兆円を超えた」という事実を見たことによります。つまり、「1990年」に起きた「日本の土地バブル」の時に言われたことが、「2500兆円の時価総額で、日本以外の全世界の土地が買える」ということでしたが、「デリバティブ」につきましては、「その3倍以上の規模」にまで「バブル」が膨らんでいたわけでした。

つまり、「このままでは、世界の金融システムが崩壊する」という危機感を抱き、また、「できるだけ多くの方に『金(ゴールド)』を保有して頂きたい」と思い、そのことに努力してきましたが、その後に起きたことは、「デリバティブの残高が、約8京円にまで大膨張した」という驚くべき変化でもありました。しかし、ほとんどの人は、この事実を知らず、また、既存の「金融システム」や「通貨制度」が「数十年に一度、崩壊する」という過去の歴史を知らないという状況でもありました。

そして、「預金さえ持っていれば、人生は安泰だ」というような「預金神話」に縛られるだけでなく、「高金利の詐欺事件」も多発するような状況にもなっているわけです。つまり、「金融に関する知識」が少なく、また、「投資理論」につきましても、「海外からは、大きな遅れが存在する」ともいえるわけです。そのために、私自身の「志」としましては、「誰もが理解できる投資理論の確立」と、「その実践による高パフォーマンスの達成」になりますが、基本的には、「お客様に喜んでいただける会社」を作り上げることでもあります。そして、「社員全員が経営者」という意識を持つことにより、「企業の健全性」を保つことにも注力していきたいと思いますが、基本的には、「不易流行」という言葉のとおりに、「天地自然の理」という「永遠の真理」を理解しながら、その時々の「人々の心理状態」を判断することにより「時代の一歩先を行く経営」を目指していきたいと思います。