本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.3.12

グローバル共同体の破裂

「米中の対立」から始まった「グローバル共同体の内部分裂」は、現在、亀裂の度合いを増すとともに、間もなく、「グローバル共同体の破裂」にまで進展するものと考えている。つまり、「風船の破裂」と同様のメカニズムが、現在、「人間社会」にも働いているものと思われるが、具体的には、「内部と外部の圧力差」が強くなりすぎた結果として、最初に、「内部分裂」が発生し、その後、「風船そのものの破裂」につながる展開のことである。

別の言葉では、「人間社会の欲望」が産み出した「マネーのバブル」が、「大自然の摂理」に比べて、大きな「圧力差」を発生させている状況、すなわち、「デジタル通貨が作り出した人類の欲望が、地球環境の破壊につながるとともに、人間社会そのものの存続が難しくなっている状況」のことである。また、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」が、「共同体の規模拡大とデリバティブのバブルがピークを付けた時」であり、その後は、世界全体が分裂状態に入ったものと考えられるのである。

その結果として、間もなく予想される大事件が、「目に見えない金融ツインタワー」の一角である「約600兆ドルのOTCデリバティブ」の崩壊とも思われるが、この点に関して、大きな意味を持っていたのが、今までの「何でもバブルの発生と崩壊」とも言えるのである。つまり、「デリバティブのバブル」に関しては、その後、「世界的なQE(量的緩和)」という名の「リフレーション政策」が実施され、その結果として、「金融のメルトダウン」、すなわち、「大量のデジタル通貨が、金融のピラミッドの内部で、さまざまなバブルの発生と崩壊を引き起こした状況」だったことも見て取れるのである。

より詳しく申し上げると、「2008年前後の金融大混乱」が、実は、「金融面の大地震」を意味しており、その後、「水面下で、インフレの大津波が起きていた状況」だったものと考えているが、現在では、「誰の目にもわかるような状態で、世界的なインフレが発生し始めた段階」とも思われるのである。つまり、「何でもバブルの発生と崩壊」が残したものは、「大量のデジタル通貨」の存在だったが、現在では、そのマネーが、一挙に、小さな実物資産の市場に流れ込み始めたのである。

そして、このことが、以前から申し上げてきた「金融界のホーキング放射」のことでもあるが、実際には、「水蒸気のような状態」だった「デジタル通貨」が、その後、「水のような状態」である「紙幣」に形を変えるとともに、「貴金属や原油、あるいは、食料品などの実物資産の市場」に、急速に流れ込み始める展開のことである。

2024.3.13

マイナス金利解除後の日本

1999年から継続してきた「日本の実質的なゼロ金利政策」は、世界で唯一残っている「マイナス金利」と同様に、間もなく、解消される時期を迎えているが、この点に関して必要なことは、「このことが、日本国内だけではなく、世界の金融システム全体に、どれほどの影響を与えるのか?」の理解だと考えている。つまり、すでに金利上昇に見舞われた「他の先進各国」では、「国債」などの債券のみならず、「不動産」などの価格急落に見舞われるとともに、大量の「不良債権」が、いろいろな所で発生していることも見て取れるのである。

より詳しく申し上げると、日本国内では、「円安」により「金利の上昇」を防いできた日銀が、最近の「国債の入札金利上昇」などからも明らかなように、現在、「マイナス金利の解除」を目論んでいることが、世界的な注目を浴びているのである。別の言葉では、「人類史上、初めての経験」とも言える「マイナス金利」や「世界的なゼロ金利」が、長期間にわたり実施されてきた影響が、今後、「どれほどの問題を、世界の金融界に発生させるのか?」に、世界中の関心が集まっているものと考えられるのである。

また、このような異常事態が発生した原因としては、いまだに存在する「約600兆ドルのOTCデリバティブ」が挙げられるが、実際には、「1997年から98年の金融大混乱」に見舞われた「先進各国の金融当局者」が、「オフバランスで民間金融機関のバランスシートを大膨張させることにより、大量のデジタル通貨の創造に成功した」という状況だったことも見て取れるのである。つまり、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ」を、大量に作り上げることにより、「国家の債務破綻」や「金融システムの崩壊」に関して、「時間稼ぎ」と「問題の先送り」が可能な状況のことである。

しかし、その結果として発生した事態は、「雪だるま式に膨れ上がった世界の債務残高」であり、実際には、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」という「目に見えない金融ツインタワー」でもあるが、現在では、多くの人々が、徐々に、これらの問題点を理解し始めている状況とも思われるのである。

つまり、さまざまな問題の発生により、世界各国で、「お金の謎」や「金融システムの歴史」などを解明する動きが始まった可能性のことでもあるが、今後、最も注目すべき点は、やはり、「過去四半世紀にわたり、金融政策において先進各国の先導役を果たしてきた日銀が、今後、『紙幣の大量増刷』や『CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行』などに関しても、今までと同様に、先導役となるのか?」ということだと考えている。

2024.3.14

ビットコインと金(ゴールド)

「インフレへの懸念」や「不安定な金融システム」などを背景にして、現在、「ビットコイン」や「金(ゴールド)」などに資金が殺到し始めているが、この時の注意点としては、「ビットコインが、本当に、インフレヘッジになるのか?」という疑問が挙げられるものと考えている。つまり、「インフレ」や「デフレ」の「本質」を追求すると、結局は、「ある一定の金額で、どれほどの商品が買えるのか?」という点に行き着くが、この時の重要なポイントとしては、「過去100年間に、どのような商品が作り出され、また、どのような通貨が産み出されたのか?」が指摘できるのである。

具体的には、「氷」のような状態である「金(ゴールド)や銀(シルバー)」から、「水」のような状態である「紙幣」が産み出され、また、その後は、「水蒸気」のような状態である「デジタル通貨」が、世界的な規模で、大量に創り出された展開のことである。そして、一方で、「通貨に対応する商品」については、「一次産品」から「工業製品などの二次産品」、そして、「サービスなどの三次産品」に加えて、「膨大な規模に膨れ上がりながらも、統計数字に含まれない金融商品」までもが存在する状況となっているのである。

つまり、現在では、「100年前とは比べ物にならないほどの『さまざまな商品』と『多様な通貨』が存在する状況」となっているために、「既存の経済学」が通用しないだけではなく、「政府やメガバンクによる市場価格の操作」までもが可能な状況となっているのである。別の言葉では、現在、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時と同様に、通貨の質が劇的に低下した状態」となっているために、今後の注目点としては、「どのような通貨が、今後、本当に信用されるのか?」が挙げられるものと思われるのである。

より具体的には、「コンピューターネットワークの中を流れることができる通貨」ではなく、「裏側に貸し手が存在せず、また、自分の手で確かめられる通貨」だと考えているが、具体的には、「貴金属」であり、また、「金や銀などに交換可能な兌換紙幣」である。つまり、今後は、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」の崩壊とともに、「大量の紙幣」が印刷されるものと思われるが、この過程で予想される現象としては、「過去の歴史」が教えるとおりに、「換物運動」という「お金を受け取ると、すぐに、市場で実物資産へ交換する動き」が挙げられるのである。そして、このことが、「ビットコインではなく、金や銀などの貴金属を、私自身が推奨する理由」でもあるが、この点については、今後、「金融界の白血病」の発生、すなわち、「紙幣や貴金属は、コンピューターネットワークの中を流れることができないために、決済面で問題が発生した時」に理解されるものと考えている。