本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.3.19

不良債権の現状

現在の「世界的な金利上昇」は今後も継続し、間もなく、未曽有の規模の「金融大混乱」に変化するものと思われるが、この理由として挙げられることは、「隠ぺいされた不良債権の表面化」でもあるようだ。つまり、「1990年のバブル崩壊時」に、日本で発生した「約300兆円の不良債権」が、その後、形と所有者を変えながら増え続けてきたわけだが、現在では、「誰も、その存在に気付かないような状況」となっているのである。

より詳しく申し上げると、「民間企業」や「一部の個人」が被った「バブル崩壊の損失」と「その時に発生した不良債権」は、その後、「民間の金融機関」に引き受けられたわけだが、その結果として発生した事件が、「1997年から98年の信用収縮」であり、実際には、「山一証券」や「北拓銀行」などの倒産となって、行き詰まりが表面化したのである。そして、その後に発生した変化は、「不良債権の隠ぺい」であり、実際には、「欧米の民間金融機関」を中心にして、「簿外取引でデリバティブ(金融派生商品)を大膨張させる」という前代未聞の行為につながったのである。

別の言葉では、「1997年の約5000兆円」を「2008年の約8京円」というように、「デリバティブの残高」を急増させ、「大量のデジタル通貨」を生み出すことにより、「超低金利状態」を享受しながら、「国家の財政問題」が発覚する危機を先延ばししてきたのである。つまり、「日本で発生した不良債権」は、その後、「世界的、かつ、より巨額の不良債権」を発生させたものの、今までは、「デリバティブの大膨張」が産み出した「金融界のブラックホール」の内部に温存することが可能な状況だったのである。

より具体的には、「中央銀行と民間金融機関による国債の価格操作」により、「虚構のデフレ状態」が創り出されたわけだが、現在では、「国債を買い続ける資金」に行き詰まりが発生してきたのである。つまり、「デリバティブ」が産み出した「デジタル通貨」が枯渇し始めた結果として、現在では、徐々に、「紙幣の増刷」が始まっているが、このことは、「不良債権が、再度、表面化し始めた状況」、すなわち、「金融界のブラックホールから、一挙に、不良債権が噴出され始めた展開」を意味しているのである。

そして、今後は、この事実に気付いた人が、急速に「換物運動」を始める状況を想定しているが、実際には、「時すでに遅し」の状況、すなわち、「貴金属」などを始めとして、「現在のマネーに見合うだけの実物が存在しない状態」となっているために、これから想定される事態は、「価格の急騰により需給関係を調整する展開」だと考えている。