本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.3.23

東西冷戦の歴史的推移

現在の「米中対立」は、かつての「東西冷戦構造」が復活した可能性を想起させるような展開となっているが、私自身は、この点に関して、大きな注意が必要だと感じている。つまり、第二次世界大戦以降の推移については、「朝鮮戦争」や「キューバ危機」、そして、「ベトナム戦争」などを経て、「1980年前後」から始まった「中国の資本主義化」が大きなポイントだったものと思われるからである。

より具体的には、「資本主義化した中国」が誘発したものは「デリバティブの誕生と急激な成長」であり、また、「マネー経済の成長」と「世界的な金利低下」だったが、結果としては、このことが、その後の「ソ連崩壊」に繋がった可能性も考えられるのである。しかも、「1991年のソ連崩壊」、そして、「ロシアの資本主義化」は、その後、「実体経済」のみならず、「マネー経済」を大膨張させたわけだが、この時に、最も注意すべき事項は、「フローの実体経済」と「ストックのマネー経済」との相違点とも言えるのである。

つまり、「実体経済」については、今回の「コロナ・ショック」からも明らかなように、「今日のビジネスが、明日も継続する補償がない」という「フローの状況」でありながら、一方の「マネー経済」については、「ハイパーインフレで価値が雲散霧消するまで大膨張を続ける」という「ストックの性質」を持っているのである。別の言葉では、最後の段階で、「インフレの大津波」である「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」という展開が訪れ、「通貨価値の激減」につながるが、実際には、「ケインズ」が指摘するとおりに「100万人に一人も気付かないうちに進展する現象」とも言えるのである。

そのために、今回の「米中対立」、あるいは、「東西の冷戦構造」については、全く新たな視点から凝視する必要性を感じているが、実際には、「今までの資本主義や共産主義が、どちらの場合にも、資金や領土などを奪い合う手段として誕生した制度だった可能性」を考慮する必要性である。つまり、「マネーの残高」が膨張し、また、「マネーの価値」が減少しない限り、「マネーの奪い合い」に魅力を感じる人々が存在するものと思われるが、現在の状況としては、「世界的な紙幣の大増刷」により、間もなく、「デジタル通貨の価値が、ほぼ瞬間的に、雲散霧消する可能性」が高まっているのである。

しかも、現在では、「大自然により人類が淘汰され始めた状況」とも思われるが、このような状況下で、「東西の冷戦」や「戦争による領土の奪い合い」が議論されること自体が、「歴史に残る時代錯誤的な動き」とも言えるようである。