本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.10.27

IMFによるSDRの大量配分

「10月27日の日経新聞」では、「8月23日に実施されたIMF(国際通貨基金)による大規模なSDR(特別引き出し権)の配分」の記事が掲載され、「未曽有の危機下にある世界経済にとって強力なカンフル剤だった」と述べられている。つまり、「総額で6500億ドル(約71兆円)相当のSDRが、コロナ対応のために配分された」と述べられているが、私自身としては、内容に違和感を覚えたというのも間違いのない事実だった。

具体的には、「コロナ対応のためではなく、金融システムの崩壊を防ぐためだったのではないか?」という疑問のことでもあるが、最近の「IMFの動き」を見ると、「水面下でデリバティブ(金融派生商品)の完全崩壊が発生しているのではないか?」とも感じられるのである。つまり、いまだに「約6京円もの残高」が存在すると言われる「デリバティブ」については、過去数年間、「量的緩和(QE)の実施により、問題の先送りと時間稼ぎが実施された」という状況だったのである。

しかし、現在では、「デジタル通貨の枯渇により、テーパリングという国債買い付け金額の減少が始まった段階」となっており、今後は、「デリバティブの崩壊に伴う約6000兆円もの不良資産の処理」に対応せざるを得ない状況とも想定されるのである。つまり、過去のパターンから言えることは、「想定元本の約1割が不良債権化する状況」であり、今までは、「約2京円もの残高減少を、中央銀行のバランスシート大膨張で補っていた可能性」が指摘できるのである。

別の言葉では、「中央銀行の国債買い付けが実施可能な限り、超低金利状態の維持が可能な状況」でもあったが、現在では、「資金の枯渇により、徐々に、世界的な金利上昇が始まった段階」とも言えるのである。あるいは、「実質金利の急低下により、預金や通貨の目減りに気付いた人々が、慌てて、実物資産の購入が始まった状況」であり、このことが、さまざまな商品価格の急騰を引き起こしているものと考えられるのである。

そして、今後は、「誰もが驚くような大事件の発生」により、「40年以上も継続したデリバティブのバブル崩壊」や「1971年から始まった、現在の信用本位制という通貨制度の崩壊」が表面化するものと想定されるのである。つまり、「世界各国の中央銀行が、こぞって、大量に紙幣増刷に迫られる状況」のことであり、この時に予想される「換物運動」は、前代未聞の規模になるものと思われるが、現在は、「銀(シルバー)」や「プラチナ」などの購入が困難になり始めている段階である。