本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.8.5
中国政府の公的資本注入
現在の「中国不動産バブルの崩壊」に関しては、「30年ほど前の日本と同様のメカニズムでありながら、はるかに速いスピードで進行している可能性」を考慮しており、また、この点に関する注目ポイントは、「今後、何時、どれほどの公的資本が注入されるのか?」だと考えている。つまり、「日本」の場合には、「1990年前後に弾けた土地と株式のバブル」に関して、「1996年8月に、6850億円の公的資金が、住宅金融専門会社に投入された」という状況だったことも見て取れるのである。
しかし、現在の中国では、「2020年から21年に投じた2100億元に続き、3200億元の公的資本が、中小銀行に投入された」とも報道されており、このことから想定される事実は、「現在の中国で、きわめて速いペースで不動産バブルが崩壊している可能性」とも言えるのである。しかも、今後は、「民間金融機関の不良債権が、中央銀行や国家に移行する事態」を想定しているが、この点に関する注目ポイントは、「中国が、1991年のソ連の二の舞となり、世界の金融システムを崩壊させる可能性」だと考えている。
より詳しく申し上げると、「1990年代の西洋諸国」では、「金融システム」を守るために、「政府」が公的資本を投入したわけだが、その後の展開としては、ご存じのとおりに、「資本注入に歯止めが効かなくなるとともに、デリバティブの大膨張に依存した状況」だったことも見て取れるのである。つまり、当時の状況としては、「日本」のみならず、「欧米各国」までもが、「財政破綻の危機」に見舞われたわけだが、この窮地を救ったのが、前述の「デリバティブの大膨張」だったことも理解できるのである。
より具体的に申し上げると、「1990年代の後半から2008年前後にかけて、デリバティブの想定元本の合計金額が10倍以上にまで膨らんだ状況」となり、この結果として、「先進各国は、超低金利状態を享受し、また、デジタル革命の恩恵を受けた状態」だったが、今後の問題点は、やはり、「反動の規模が格段に増加する可能性」であり、また、「東西冷戦構造が世界の金融システムに悪影響を与える可能性」だと考えている。
つまり、今回は、「中国の不動産バブル崩壊が、世界の金融システムを根幹から揺るがす可能性」があるものと思われるが、このような状況下で、「中国やロシアが目論んでいることは、世界の覇権を米国から移動させること」のようにも感じられるのである。別の言葉では、「14億人の国民が、一人の独裁者によって統治されるとともに、ロシアなどと共謀して、世界全体を攻撃する可能性」のことである。