本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.10.31

習近平体制の末路

異例の三期目を迎えた「中国の習近平体制」に関しては、「奢れるものは久しからず」という言葉が、ぴったり当てはまる状況のようにも思われるが、この点については、党大会の直後に始まった「世界的な中国からの資金逃避」が象徴的な出来事のようにも感じている。つまり、「習近平の中国」については、「プーチンのロシア」を連想させるような状況となっており、実際のところ、「中国が台湾への軍事侵攻を実行した場合に、現在のロシアの二の舞となる可能性」も想定されるのである。

より具体的には、「共産党原理主義者が求めるものは、軍事力や経済力による世界制覇ではないか?」という疑念が、世界的に高まっているものと思われるが、この点については、「100年ほど前のシュペングラーの預言」が、より詳しく状況を説明しているものと考えている。つまり、現在が、「皇帝主義の完成」、そして、「貨幣に対する暴力政策の勝利」の時期のことでもあるが、このような状況下では、「政治的な形式において、原始的な性格が増加する事態」も述べられているのである。

別の言葉では、「大都市的な性格を備えた大衆が解体して、無形式の群衆となった状況」において、「軍事力や資金力を背景にした国家権力が、暴力的、あるいは、抑圧的な政策を実施する状況」のことである。そして、この点については、「共産原理主義諸国」のみならず、「西洋の資本主義諸国」においても、同様の状況のようにも感じられるが、この時に、最も大きな役割を果たすのが、「貨幣価値の暴落」とも想定されるのである。

より詳しく申し上げると、これから憂慮される事態は、「中国共産党」に象徴されるように、「内部分裂」であり、実際には、「不満を持った人々が、既存の権力に対して、反乱を起こす可能性」とも想定されるのである。そして、この点については、現在の「ロシア」が、典型的な代表例とも思われるが、実際には、「軍事力だけでは、国民が制御できなくなりつつある状況」、あるいは、「国民が国外逃亡を実施する状況」のことである。

つまり、「政府や国家への信用」が崩壊することにより、「国家の統治」が不能になる状況のことだが、実際には、「フーセンの破裂」と同様のメカニズムが働いている状況のようにも感じている。具体的には、「国家の内外で、さまざまな圧力差が働くことにより、国家そのものが破裂する可能性」のことでもあるが、実際には、「西暦400年頃から始まった世界的な共同体の巨大化」、そして、この時の必要条件である「マネーへの信用増加とマネー残高の増加」が、根本的な要因だったものと考えている。