本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.4.10
MPTとMMT
今から40年前の1983年、米国の大学で「MBA」を取得した私は、意気揚々と、米国のファンドマネージャーたちとの取引を開始したが、当時、言われたことは、「MPT(現代ポートフォリオ理論)は、ほとんど実践の役に立たない」ということだった。そして、その後の「約40年間」を振り返ると、「まさに、この言葉のとおりだった」という感想を抱いている状況でもあるが、この理由として挙げられるのは、やはり、「ランダムウォーク理論」などの「西洋投資理論の問題点」とも言えるようである。
別の言葉では、「MPTとMMT(現代貨幣理論)が、将来的に、西洋投資理論の問題点だった」と言われる可能性でもあるが、実際には、「市井の経済学者」である「高橋亀吉氏」が指摘するとおりに、「実体経済とマネーとの関係性」や「西洋医学的ではなく、東洋医学的な問題の対処法」などが、相場の実践で必要とされる状況のことである。つまり、「実体経済を表すGDPと比較して、約10倍の規模にまで膨らんだ現在のマネー」に関して、「どのような推移とメカニズムで、このような情勢が発生したのか?」などを理解することでもあるが、実際には、これらの視点が欠如しているために、「現在の金融混乱」が、多くの人々にとって、ほとんど理解不可能な状況のようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「西洋医学」のように、「現在の病気の原因となっている部分を切り取るような対処法」ではなく、「東洋医学」のように、「どのような生活と習慣が、現在の問題を引き起こしたのか?」を考える対処法のことである。そして、この方法で「現在の金融混乱」を見ると、「過去40年間に発生した『世界的な金利低下』と『アメリカ株の上昇』の原因」である「デリバティブの大膨張と、その後の量的緩和(QE)」が、根本的な原因として指摘できるものと考えられるのである。
しかも、今後は、すでに始まった「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」という「目に見えない金融ツインタワー」の崩壊が理解できない限り、相場に対応不可能になる可能性も想定されるのである。ただし、この結果として予想される変化は、「経済学などの社会科学が、3次元から4次元へ上昇する可能性」でもあるが、この時に参考になるのが、「300年ほど前の自然科学の次元上昇」だと考えている。
つまり、「ケプラーからニュートンへ」という言葉のとおりに、「万有引力の法則」が発見され、「自然科学が、4次元へ移行した状況」のことでもあるが、今後は、「AI(人工知能)」などの応用により、「社会科学」で、同様の発展が見込まれるものと感じている。