本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.10.5

大混乱の米国政治

「前大統領の起訴」や「現職大統領の息子の起訴」、そして、「下院議長の解任」というように、前代未聞の政治的な大混乱が継続している米国については、基本的に、「西洋文明の終焉」を象徴している出来事のようにも感じている。つまり、「村山節(みさお)の文明法則史学」によると、「東西文明は800年ごとに交代し、交代時に約100年間の移行期が存在する」とも言われているのである。

より具体的には、西暦400年前後に「西洋から東洋文明への交代」、そして、その800年後の西暦1200年前後に「東洋から西洋文明への交代」が発生し、現在では、再び、「西洋から東洋文明への交代」が発生している状況のことである。そして、30年ほど前に、この理論を学び、その後、詳しい研究を重ねてきた私自身としては、今回の「米国の政治混乱」は、まさに、「切り花状態だった米国、そして、西洋文明の崩壊を象徴している出来事」のようにも感じられるのである。

つまり、「根本にある信用」を基にして、「経済」や「金融」などが発展するものの、現在では、「根本の信用」が崩れ去った状況、すなわち、「なにも信用できない社会」が形成された状態のようにも思われるのである。別の言葉では、「金(ゴールド)」を基にして発行された「現代の通貨」は、現在、「崩壊時の西ローマ帝国」と同様に、「根本が忘れ去られるとともに、大量の通貨が発行された状態」ともいえるのである。

しかも、今回の「政治的な混乱」については、「根底に存在する経済や金融の混乱が、表面上の政治に表れ始めた状況」であり、このことは、かろうじて「表面上の繁栄」を保っていた西洋文明が、本格的な崩壊を始めた段階のようにも思われるのである。つまり、「世界的な金利上昇」が意味する「信用の消滅」が、本格的な「マネーの消滅」である「ハイパーインフレ」を引き起こす可能性が高まっている状況のことである。

そのために、現時点で必要なことは、「戦後の26年サイクル」が教える混乱が、「今後、どのようにして具現化するのか?」を考えることであり、実際には、「1997年8月から始まった信用収縮」と比較して、「今後、約30倍の規模で、衝撃が訪れる可能性」を理解することとも思われるのである。つまり、26年前の「約2500兆規模の日本のバブル崩壊」と比較して、今回は、「約8京円規模のデリバティブのバブル崩壊」が、世界の金融システムを揺らすことになるために、これから世界を襲う「金融インフレの大津波」に関しては、未曽有の規模となる可能性を考慮することである。