本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.11.1

インフレ税に悩まされ始めた日本人

税金には「見える税金」と「見えない税金」との区別が存在し、また、「見える税金」が「現在と将来の税金」に分かれ、また、「目に見えない税金」が「国民の気付かない段階と気付く段階」とに分かれることは、以前に説明したが、現在の状況としては、「所得税や消費税などの現在の税金」に加えて、「国債の発行という将来の税金」、そして、「目に見えない税金」である「インフレ税」が、国民の気付かない状態で課されていた状況だったものと考えている。つまり、「2%のインフレ目標」や「異次元の金融緩和」などの言葉の裏側で、「日銀がバランスシートを大膨張させながら、国債の大量買いを実施する」という、いわゆる「リフレーション政策」が実施されてきたことも見て取れるのである。

別の言葉では、日本人は、今まで、「現在と将来の目に見える税金」のみならず、「目に見えないインフレ税」という「三種類の税金」を払っていながらも、多くの人々は、「デフレだからゼロ金利は当たり前のことだ」というような認識を持っていたのである。つまり、「政府発表やマスコミの報道」を鵜呑みにしていたわけだが、現時点の変化としては、「インフレ率が、3年連続で2%を上回る可能性」が指摘されているように、「日本人の生活が、インフレで厳しくなり始めた状況」が指摘できるものと考えている。

そして、このことは、「目に見えないインフレ税」が、「国民の気付かなかった段階」から「国民が気付き始めた段階」へ移行を始めた状況を表しており、この結果として予想される事態は、「戦後日本のハイパーインフレが再燃する可能性」ともいえるのである。つまり、「通貨の堕落がもたらすハイパーインフレは、100万人に一人も気付かないうちに発生する」という「ケインズ」などの言葉のとおりに、現在では、「史上最大規模のハイパーインフレが、日本のみならず、世界全体を襲い始めた状況」とも想定されるのである。

より具体的には、「1923年に、ドイツのワイマール共和国で発生したハイパーインフレ」以降、「風船を膨らます」という意味を持っていた「インフレ」という言葉が経済用語として使われるようになったわけだが、それまでは、「一定の金額で、どれほどの商品が買えるのか?」を表す「通貨価値」の下落が、現在の「インフレ」を表していたのである。そのために、今後の注目点は、「生活に必要な商品が、どれほどの金額で購入できるのか?」であり、また、この時に問題となるのが、現在の「デジタル通貨」の有効性とも思われるが、実際には、「政府や中央銀行への信頼感」が失われ、「大量の紙幣」が発行されるような状況下で、「コンピューターネットワークの中を流れることができない紙幣が、世界の金融システムに、どのような影響を及ぼすのか?」ということだと感じている。