本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.1.18
金融市場における価格コントロール
西暦2000年からの約20年間は、「金融市場における価格コントロール」が実施された期間、すなわち、「世界の金融市場において、ほとんどすべての商品価格がコントロールされた異常な期間」だったものと感じている。具体的には、「金利」のみならず、「株価」や「為替」、そして、「商品価格」までもが人為的に操作された状況のことだが、この原因としては、やはり、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」が挙げられるものと考えている。
つまり、「コンピューターネットワークの発展」を基にして、「本位通貨」が「単なる数字」に変化したために、「大量のデジタル通貨」が産み出されるとともに、未曽有の規模で「デリバティブ(金融派生商品)」が作り出されたことも見て取れるのである。その結果として、従来の経済学で指摘されていた「長期金利のコントロールは不可能である」というような常識が、一時的に、当てはまらなくなったことも理解できるのである。
より詳しく申し上げると、「一部のメガバンクが、デリバティブの利用により、ほとんどの市場で価格コントロールを行った」という状況により、「世界の金融市場で、未曽有の規模での歪みが発生した状況」のことである。別の言葉では、「債務の継続的な増加」を基にして成り立っていた「資本主義社会」そのものが、最後の段階で、空前絶後ともいえる金額の「借金」を背負った状態のことである。
しかも、最終段階では、「デリバティブによる市場価格のコントロ-ル」が効かなくなり始めたことにより、「金融市場の大混乱」が始まったことも見て取れるが、この問題の解決策としては、「膨れ上がった世界債務の消滅」とも理解できるのである。つまり、「ハイパーインフレによる債務の発散」か、あるいは、「世界的な大恐慌による銀行と国家の連鎖破綻」のいずれかが発生する可能性のことである。
別の言葉では、「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」に関して、「どちらも音を立てて崩れる展開」を想定しているが、今後の注目点は、「この時に、世界各国が、どのような対処を取るのか?」だと考えている。そして、この時に参考になるのが、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」のようにも思われるが、実際には、「財政赤字とインフレ」そして、「無力化したローマ法」などにより、現在と同様に、「多くの人々が、右往左往した状況」だった可能性も指摘できるようである。