本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.7.7

英銀のLIBOR操作

現在、英国で「金利の不正操作」が問題になっている。そして、この事件は、今後、より一層、大きな問題に発展するものと考えているが、実は、今回の「世界的な金融大混乱」の「元凶」が、「イギリスのデリバティブ(金融派生商品)」であり、今回は、「その一端が見えてきた事件」とも言えるのである。つまり、「6京円から8京円」とも言われる「世界のデリバティブ」に関して、ようやく、本当の正体が見え始めたようだが、このことは、先日の「ロンドンのクジラ」と同様に、最も巨大なデリバティブ市場である「イギリス」において、本当の大混乱が起き始めたものと考えている。

具体的には、「デリバティブの7割」が、いわゆる「金利デリバティブ」と呼ばれるものであり、この時に、指標的な役割をはたしていたのが、「LIBOR」と呼ばれる「ロンドン銀行間取引金利」だったのである。そして、この金利を操作することにより、「世界の金融市場がコントロールされていた」ということが、海外で指摘されているのだが、今後は、徹底的な捜査により、不正操作の全容が明らかになることが期待されるようである。

ただし、この点については、「日米欧の超低金利政策」とも、密接に関わった出来事であり、注意深く見守る必要性があるものと思われるが、基本的な点としては、「日米欧の先進国が、歴史的な超低金利政策を実行できた」という事実の裏側に、今回、問題となっている「金利デリバティブ」が存在するのである。つまり、この残高を大膨張させることにより、「国債の買い支え」が可能となり、結果として、「全体の金利を低く抑えることができた」ということである。

しかし、現在では、前述のとおりに、さまざまな問題点が噴出し始めており、今後は、今までに積み上がった矛盾が、一挙に解決される時機が到来するものと考えているが、このことは、「デリバティブバブルの完全崩壊」ということであり、また、「国債価格の暴落」のことである。しかも、このタイミングとしては、「2007年7月」から始まった「サブプライム問題」と同様に、「5年に一度の丁未の月」である「2012年の7月」になる可能性が高くなっているのである。

そのために、今回の不正操作事件に関しては、今後の進展が気にかかるのだが、このような「金融商品の価格操作」に関しては、数年前から、海外の専門家が、何度も指摘してきたことでもあったのだが、実際には、「知らぬは、日本人ばかりなり」とも言える状況だったようである。