本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.7.7

神様の言うとおり

私が小さかった頃、「10までの数」を数える時に、一本ずつ指を折りながら、「かみさまのいうとおり」という言葉を発したことを記憶している。しかし、それから50年以上も経過した現在では、「子供たちに、この言葉を教えることを忘れた自分が存在する」という事実に気付かされるとともに、「時代の変化」の大きさにも、大いに驚かされている。つまり、「神」や「天」ということを無視し、「自分の力だけで、人生を切り開いてきた」という「傲慢さ」が、「いつの間にか、世界中を支配していた」ということである。

そして、このことは、私を含めた現在の日本人に、共通することとも言えるようだが、結局のところは、日本人全体が、「お金」に支配され、「お金さえあれば、人生は安泰だ」という「誤った考え」を持ったことが、現在の混迷の根本的な原因とも言えるのである。別の言葉では、「受験戦争を勝ち抜き、有名大学を出て、大企業に就職すれば、生涯、高給が保証される」と考える人が増えたのだが、実際には、「東電」や「JAL」のように、「堕落した大企業ほど危険なものはない」という状況にもなっているのである。

しかも、今回は、「現代のお金」そのものが、極めて危機的な状況に陥っており、実際には、「預金が紙屑になる」という時期が近くなっているようだが、残念ながら、ほとんどの日本人は、この可能性を、まったく無視しているのである。そして、依然として、「お金が無ければ生きていけない」という不安を抱えながらも、「最後には、国家が、生活保護などの救済策により、我々を保護してくれる」と期待しているようにも思われるのである。

しかし、実際には、「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉のとおりに、「資金繰りに行き詰った政府は、国民から税金を搾り取る」という状況となり、最後には、「国民の反乱」が起きることも「歴史が教える真実」とも言えるのである。しかも、「究極の税金」としては、「インフレ税」という「紙幣の増刷により、全ての借金を棒引きにする」という状況も想定されるのだが、残念ながら、今になっても、この議論が無視されているのである。

そして、今後の展開としては、「お金」が頼りにならなくなった時に、「神様」に頼る人が増えることが考えられるようである。つまり、「昔の人々」は、「神や天に対する畏怖心」を抱いていたために、子供たちに「神様の言うとおり」という言葉を教えたようだが、現在、多くの人々が「パワースポット」や「神社仏閣」などに頼る心理状態は、まさに、人々の心が神や天に向かい始めていることを物語っているようだ。つまり、800年前や1600年前と同じように、文明の大転換が起きているということである。