本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.10.5

貴金属のバブル相場

国債価格の暴落とともに、「金(ゴールド)や銀、あるいは、プラチナなどのバブル相場」がスタートするものと考えているが、過去数年間の動きを振り返ってみると、実に感慨深いものがあるとともに、「60年サイクル」の存在に、改めて、敬意を表する次第である。つまり、本来は、「末尾に9の付く年」に「バブル」が発生し、今回は、「2009年から2010年」に、「貴金属のバブル」が発生することを想定していたのである。

しかし、実際には、「2007年の7月」から、私の想定通りに、「金融混乱」が始まったものの、その後の動きについては、「過去3回のバブル」とは、まったく、違った様相を呈したのである。具体的には、「世界的な金融のコントロール」により、「国債の買い支え」や「株式と商品価格の売り叩き」が起きたのだが、この点をよく考えると、今回は、「目に見えない金融戦争」が、「60年前の実際の戦争」よりも「時間的に長引いた」という事実が指摘できるようである。

しかも、今回は、世界中の人々が、「世界的な金融戦争の存在」に気付かなかったために、「60年前に起きた戦後の統制経済」のような状態にも、ほとんど、目を向けることがなかったのである。しかし、実際には、「LIBORの不正操作」からもお分かりのように、「世界の金融は、政府やメガバンクにより、きわめて異常な状態になっていた」ということが明らかになっているのである。

そして、「現在、どのような事が起きているのか?」を考えると、「2012年の7月」に「欧米の国債価格が、史上最高値を付けた」というように、「歴史的な大転換」が起きたことが理解できるのである。つまり、このことが、「金融大戦争の終焉」ということだと考えているが、結果としては、「実体経済の20倍にまで膨れ上がったマネー経済が、現在では、コントロール不能の状態になった」ということを意味しているのである。

しかも、今後は、この「膨大なマネー」が、世界中で、大暴れすることが想定できるのだが、このことが、過去の歴史では、「ギャロッピング・インフレ」と呼ばれるものであり、また、その後の「ハイパーインフレ」のことである。また、一旦、このような動きが始まると、その後の展開は、きわめてスピードが速くなることが考えられるのだが、「ケインズの教え」のとおりに、「100万人に一人も、実際の状況を理解していない」というのが実情とも言えるようであり、本当の大混乱が起きて、初めて、金融戦争が存在していたことに気付かされることになるようである。