本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.10.16

政権交代の意味

アメリカの選挙が間近になっているが、この4年間を振り返ると、どうしても、「オバマ民主党政権が、どのような意味を持っていたのか?」を考えざるを得ないようである。また、日本においても、自民党から民主党への「歴史的な政権交代」が起きたのだが、ご存じのとおりに、現在の民主党政権は、かつての自民党政権よりも、「より一層、官僚寄りの政治」を行っているようであり、この時にも、「日本の政権交代は、歴史的に、どのような意味を持っていたのか?」ということが、人々の大きな関心事とも言えるようだ。

また、現在では、「日本維新の会」が、マスコミの関心事であり、多くの国民も、「明治維新」の時と同様に、「世の中の体制が、大きく変化する」ということを期待しているようである。そのために、「明治維新の時に、どのような事が起きたのか?」ということが、今後の日本を見る上で、たいへん参考になるものと考えているが、現時点での感想としては、「日本の開国」に関して、「開国派」と「攘夷派」が争ったことが、今回の、「野党と与党との争い」と似たような状況だった可能性があるものと考えている。

つまり、「日本を二分して、いろいろな争いが起き、結果としては、大政奉還により、幕藩体制が終了した」という事実が、今後の参考になるものと考えているのだが、今回の、「民主党と自民党との政権交代」については、結果として、「官僚支配体制が強まっただけだった」とも言えるのである。具体的には、「消費税の増税法案」を成立させ、また、「国債の買い支え」が継続することにより、依然として、「ゼロ金利の状態」が保たれたという状況でもあったのだが、この点については、「日米ともに、似たような状況だった」とも言えるようである。

しかし、この点をよく分析すると、まったく違った側面も見えてくるのだが、それは、「国民が、政治に対する信頼感を完全に失った」ということである。そして、このことが、今後、大きな意味を持ってくるものと考えているのだが、具体的には、「政府に対する不信感が、通貨に対する不信感へと移行する」ということである。

別の言葉では、「国民不在の状況で、民主党と自民党とが争った」という状況下で、「本当の問題は、官僚による金融支配体制だった」という点に、世界の人々が、気付き始めたということである。そして、この「象徴」となるのが「日米のゼロ金利」であり、また、「異常なまでの、国債の買い支え」だったようだが、今後、想定される「国債価格の大暴落」は、明治維新の時の「大政奉還」と同じ役割を果たす可能性があるようだ。