本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.10.16

金融大混乱の現状

現在では、今までの「世界的な金融大混乱」が一時的に忘れ去られ、「平穏な状態が戻ってきた」と感じる人もいるようだが、実際には、「暴風雨の中で、一時的な凪(なぎ)の状態が起きている段階」だと考えている。つまり、「株価や国債価格、そして、為替などは、一時的な安定状態にある」という状況であり、表面的には、「世界の金融混乱」が加速していないようにも見えるのだが、実際のところは、「太平洋戦争末期の大空襲時に、いつ、次の空襲が襲ってくるのか?」ということに怯えている状況とも感じられるのである。

つまり、「世界的な金融問題が解決されずに、より一層、借金爆弾の規模が大きくなっている」という事実を無視しながら、「今日は、問題が起きなかった」ということに「ほっとして、胸をなでおろすような状態」ということである。そして、内心では、「これから、どのような事が起きるのか?」ということを「知りたくもあり、また、知りたくもなし」と感じている人が増えているようだが、やはり、この時に役立つのが「歴史の知恵」だと考えている。

具体的には、「温故知新」という言葉のとおりに、「現在の金融混乱は、どのような理由で発生したのか?」を、歴史を振り返りながら、本当の原因を究明するということだが、「パンとサーカス」と呼ぶべき現状に慣れきった人々にとっては、「面倒なことを考えるよりも、今日の一日が楽しければ良い」という状況でもあるようだ。そして、このような人々が増えれば増えるほど、「権力の暴走」が激しくなり、結果として、現在の「金融大混乱」に繋がったのだが、もはや、「混乱の最終段階」に差し掛かっている現状では、どれほど警告を発しても、ほとんど意味を持たないようである。

このように、私の予想よりは遅れたものの、間もなく、「本格的な金融大混乱期」に突入するものと考えているが、このキッカケとなるのは、やはり、世界的な国債価格の暴落だと考えている。そして、「天災は忘れた頃に訪れる」という言葉のとおりに、「多くの人が安心した時に、突如として、問題が発生する」ということが、過去のパターンでもあったのだが、今回も、同様の状況が繰り返されることになるようだ。

しかも、今回は、「10月の庚戌」、そして、「11月の辛亥」という暦が、たいへん気にかかる状況でもあり、今まで以上の注意が必要だと考えているが、この時の注目点は、「世界的な株価や商品価格の急騰が、実は、世の中が安心できる状況ではなく、反対に、混乱が始まるサイン」ということである。