本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.1.29

アメリカのプレッパーズ

最近、アメリカでは「プレッパーズ(PREPPERS)」と呼ばれる人の数が多くなっているようだが、この言葉は「将来の危機や混乱に備えようとする人々」のことを意味している。そして、彼らは、現在の「世界的な情勢」を見ながら、「今後、どのような事件が起きるのか?」を予想し始めているのだが、この理由としては、「どのような事態になっても困らないように、今から準備する」ということが重要視されているからである。

このように、現在のアメリカでは、現代人が忘れ去った「野性的な危機意識」とでも呼ぶべき感覚を持つ人が増えているようだ。つまり、今までに起きた「金融混乱」や「世界的な環境問題」などを見ることにより、「得体の知れない、大きな変化が起きているのではないか?」と感じ始めている人々が増えているようである。また、彼らの関心事は、多岐にわたっているのだが、現時点での「トップ5」を見ると、主に、「金融問題」と「食料問題」に偏っていることも理解できるのである。

具体的は、「なぜ、アメリカ国民が、大量の銀を買い始めたのか?」、あるいは、「ドイツが、なぜ、今回、正式に金(ゴールド)の返還を求めたのか?」ということであり、また、「なぜ、アメリカの大富豪は、モンタナで農地を買い求めているのか?」ということなどである。そして、「過去の歴史」を振り返りながら、「現在の金融システムが、どのような過程を経て生まれたのか?」を模索し始めたようにも思われるのだが、「この時に、大きな転換点となったのが、1971年のニクソン・ショックだった」という点にも、徐々に、気付き始めたようである。

つまり、「ベトナム戦争」の時に、多額の軍事費を使い、「ドルの乱発」が行われたのだが、この点に不信感を抱いた「ドイツ」や「フランス」が「ドル紙幣ではなく、金による支払いを求めた」という状況が、今回の、「ドイツの中央銀行が、アメリカに対して、正式に金(ゴールド)の返還を求めた」という事実に重なって見えるようである。

このように、海外では、「備えあれば、憂いなし」という言葉のとおりに、「嵐の日に備えて、今から準備をする人々」が増えているのだが、残念ながら、現在の日本人は、「いまだに、金融混乱の本質を理解していない状況」とも言えるようである。そして、「アベノミクス」に対する期待感が膨らむとともに、「景気の回復により、現在の株価上昇が起きている」とも考えているようだが、実は、「株価の上昇と円安は、本当の金融大混乱の始まり」とも言えるのである。