本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.9.27

継続された量的緩和

9月19日の「FOMC(連邦公開市場委員会)」は、世界中の投資家から、かつてないほどの注目を浴びたが、実際に決定されたことは、「量的緩和の継続」という、大方の予想を裏切るものだった。そして、この時に起きたことは、私自身の記憶にもない、「株式」と「貴金属」、そして、「国債」の価格が、「同時に上昇する」という動きだったが、このことは、今後の展開を予兆するものではないかと考えている。

つまり、相場の「陰の極」において起きることは、往々にして、「株式」や「貴金属」、そして、「国債」などの全てが売られ、「安全資産」と考えられている「現金」や「預金」に、「資金が集中する動き」とも言えるのである。しかし、今回は、反対に、「ほぼ一日」という短期間ではあったものの、「預金」や「現金」から、「いろいろな資産」へ資金が流れ出す動きが起きたのである。

そして、この理由としては、前述の「量的緩和の継続」が指摘できるようだが、同時に、今後、「政府」や「通貨」の信用が無くなった時に、人々が慌てて、「預金や現金から、実物資産へ資金移動を始める状況」の予兆だった可能性もあるようだ。つまり、「国債」に関しては、「今後、大きく価値を失う」という状況が想定されるために、「資金の移動」は考えにくい状況でもあるのだが、この点を考慮すると、「FOMC」の直後に起きたことは、私が想定する「金融大地震」の後に訪れる「インフレの大津波」を予見させる動きだった可能性もあるようだ。

また、「なぜ、今回、バーンナンキ議長が、量的緩和を継続したのか?」という点については、最初に、「自分の任期中に、波乱を起こしたくなかった」という理由が指摘できるようである。そして、次の理由として考えられることは、「量的緩和の縮小」が、「国債購入額の減少」に繋がるために、「国債価格の下落」と「上限債務問題」に考慮した可能性があるようだ。

つまり、「問題の先送り」と「時間稼ぎ」が目論まれたものと考えているが、この結果として起きたことは、世界中の投資家が、「バーナンキ議長の苦悩」を理解しただけではなく、同時に、「量的緩和の本質」を見抜いた可能性でもあったようだ。別の言葉では、「金利上昇」が始まると、「金融システム」や「通貨制度」の「崩壊」に繋がるということだが、これからの注目点は、「本当に、バーナンキ議長が、何事もなく、任期を満了できるのか?」ということでもあるようだ。