本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.10.25

おもてなしの精神

今回の「阪急阪神グループ系列レストラン」による「偽装表示問題」には、たいへん驚かされたが、この最も大きな要因が、「リッツ・カールトンホテルまでもが、この問題に関与していた」ということである。つまり、私自身が、今から7、8年前に、「リッツ・カールトン大阪」で「おもてなし研修」を受けた経験があり、当時は、「海外にも、日本人以上の素晴らしい精神を持ったホテルが存在する」と感激したからである。

しかし、今回、あまりにも愚劣な偽装問題が発覚したことにより、「リッツ・カールトン大阪に対する評価」を変えなければいけないようにも感じているのだが、同時に、「なぜ、これほどまでの堕落が起きたのか?」という点にも、大きな関心を抱いているのである。つまり、「利益追求」という「お金の魔力」により、「おもてなしの精神」が崩壊した可能性のことであり、また、「従業員のサラリーマン化」や「権力の暴走」などが、「どれほどの悪影響を与えたのか?」ということである。

このように、現在では、「資本主義」という「お金が、最も大切である」という考え方が世界中に広まった状況とも言えるようだが、当時、「リッツ・カールトンホテル」で感じたことは、「いよいよ、時代が変化するのではないか?」ということだった。つまり、「利益だけを追い求める企業」は、当然のことながら、「顧客の満足度を無視する会社」ということであり、今後は、「このような企業は、決して、社会に受け入れられないのではないか?」とも考えたからである。

換言すると、「顧客と共に栄える企業」というのは、お客様の「喜び」や「満足度」を優先しながら、「企業の従業員が、人間的に成長し続ける会社」だと理解したのだった。しかし、今回の事件は、「時代の逆行」という「人々が、ますます、お金の魔力に悪影響を受ける姿」を現しているようであり、実際に、現在では、「誰も信用できない社会へ、変貌を遂げたのではないか?」ということだが、一方では、反対に、「世の中が窮まった状況」を意味している可能性もあるようだ。

具体的には、「易経」にある「窮まれば変じ、変じれば通ず」という言葉のとおりに、「間もなく、人々の意識が大変化を遂げ、その後は、良い社会が訪れる可能性」のことである。そして、今回の事件は、人々に「気付き」を与えるためのものであり、これから起きることは、本当の「築き」であり、今後は、より一層、「思いやり」を持った「おもてなしの精神」が「日本社会で、重要度を増すのではないか?」ということである。