本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.12.4

2013年を振り返って

「2013年」を振り返ると、結局のところは、「国債」と「金」とを巡る「金融大戦争」において、「実質的な決着」が付きながらも、かろうじて「表面上の安定」が保たれている段階とも言えるようだ。具体的には、「アメリカのデフォルト(債務不履行)」が、世界的に認識され始めながらも、依然として、「量的緩和の継続」により、「国債価格が、世界的に、保たれている状態」ということである。そして、実際には、「中央銀行が、大量に、国債を買い付ける」という方法により、依然として、「歴史的な超低金利状態」が継続しているのだが、実際には、「水面下で、きわめて危機的な状況になっている」とも言えるようである。

具体的には、「信用乗数の低下」という「民間銀行の機能不全状態」が、より一層、明らかになるとともに、「今後、どのようにして、中央銀行が、国債の買い付け資金を手当てするのか?」という点が疑問視され始めているのである。また、「金(ゴールド)の市場」においても、「ペーパーゴールド」という「先物市場における価格」と、「フィジカルゴールド」という「現物市場の価格」とで、「大きな違いや歪みが発生しているのではないか?」とも言われているのである。

しかも、「金を信用する陣営」である「中国やインド、そして、ロシア」などの国々は、継続して「金」を購入している状況でもあり、また、「現物市場」におきましては、「金の現物が枯渇し始めている」とも言われているのである。つまり、人類が今までに掘り出した「金」は「約17万トン」とも推測されており、現時点の「時価総額」は、「約700兆円」という数字にすぎないのである。また、現在の「金の採掘コスト」は、「一オンス当たり1200ドルを超してきた」とも言われているために、現在の金価格では、今後、「多くの金鉱山が閉鎖される可能性も出てきた」という状況にもなっているのである。

このように、現時点で起きていることは、「アメリカ」と「日本」を中心にして、「月間で約15.5兆円」もの資金が、「量的緩和」という名のもとに「大量に供給されている状況」であり、しかも、現在では、世界に存在する「約10京円」という資金が動き始めており、その結果として、「世界的な株高」が起き始めている状況とも言えるのである。そして、このことが、古典的な意味での「ギャロッピング・インフレ」を表すとともに、今後は、「通貨価値の本格的な下落」である「ハイパーインフレ」へと移行することも予想されるのだが、このことが、「世界的な金融大戦争」の終焉を意味するとともに、「金融システム」や「通貨制度」の崩壊のことのである。