本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.3.7

虚構の崩壊

今年を予想する上での「キーワード」は「虚構の崩壊」ではないかと考えているが、実際に、「2月に起きた出来事」を見ると、「ゴーストライター事件」や「ビットコイン事件」、そして、「全日展での書道作品のねつ造事件」など、「実体」が曖昧な状態で、「名声や信用などが独り歩きしていた状況」に関して、さまざまな問題が起きているのである。そして、「問題の発覚とともに、ほぼ瞬間的に、信用が喪失した」という状況でもあったのだが、これから想定されることは、「信用」に関して、最も重要な商品である、現代の「通貨」や「金融商品」に対して、同様の大問題が起きるものと考えている。

つまり、現時点での「最大の虚構」が、現在の「金融システム」や「通貨制度」ではないかと考えているのだが、この点に関しては、以前から、海外で、「ポンジースキーム(ねずみ講)のようなものではないか?」とも言われていたのである。具体的には、「何もない空中から、お金が生み出されている」という指摘のことだが、実際に、現在の「信用創造のメカニズム」を考えると、まさに、このような状況とも言えるのである。

また、「ヨーロッパ」や「アメリカ」の「金融混乱時」に起きた事は、「IMF」や「世銀」などによる「信用供給」であり、実際に、「100兆円単位の資金が供給されていた状況」でもあったのである。あるいは、「量的緩和」という方法により、「世界の中央銀行は、過去7年間に、約1000兆円もの資金を供給した」とも言われているのだが、実際には、「この資金が、どのようにして創出されたのか?」が、ほとんど理解されていない状況とも思われるのである。

このように、現在の「通貨制度」については、私が提唱する「信用本位制」となっており、実際には、「人々の信用や錯覚が存在する限り、無制限に資金供給が可能な状況」とも言えるのである。つまり、「裸の王様」の物語のとおりに、「王様は裸である」と言わない限り、「王様が、堂々と、裸で街中を闊歩していた状況」でもあったのだが、この物語では、一旦、「一人の子供」が、この点を指摘したとたんに、「全ての人々の認識が変化した」とも言われているのである。

そして、このような大転換が、「現代の通貨」に関して起きた時には、「コンピューター・ネットワーク」の中に存在する「単なる数字」は、「実際に使おうとしても、買えるだけの実物資産が存在しない」という状況が想定されるのだが、このことが、私の想定する「金融の大地震」と「インフレの大津波」のことである。