本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.11.4

GPIFの資産構成変化と消費税

10月末に、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産構成」が変更されたが、この裏側には、たいへん重要な意味が隠されているようだ。つまり、マスコミでも報道されているように、現在では、「消費税率の再上昇」のために「株価の上昇」や「更なる好景気」が必要とされており、そのために、「年金資金」までも動員することにより、「株価の上昇」が目論まれたようである。

また、その時には、当然のことながら、「国債の売却」が「GPIF」によって実施されることが想定されるのだが、この準備のために、「日銀の国債買い増し」が発表されたようである。つまり、「日銀が受け皿となり、GPIFの売却予定分を買い付ける」という方法のことだが、このことは、あまりにも短絡的、かつ、無謀な方法とも言えるようである。具体的には、「日銀には、打ち出の小槌は存在しない」という点が指摘できるとともに、実際には、「無制限の国債買い付けは、ほぼ不可能である」という状況でもあるからだ。

別の言葉では、現在が、典型的な「国債バブル」、あるいは、「信用バブル」の状態であり、実際に、多くの人々が、「日銀が国債を買うから、国債価格が下がることはない」と、本気で信じ込んでいるようにも思われるのである。つまり、「過去のバブル」と同様に、「価格が、永遠に上がり続けるのではないか?」というような状況になっているようだが、実は、このような状況こそが、「大天井の兆候」とも考えられるのである。

そして、今後は、「ある日突然に、国債の買い手がいなくなる」、あるいは、「突如として、国債価格の暴落が始まる」というような事態も想定されるのだが、この原因として考えられるのが、「デリバティブ(金融派生商品)の完全崩壊」とも思われるのである。つまり、今年の2月に起きた「ビットコイン事件」と同様に、「デリバティブ」に関して大事件が起き、「短期間の内に、約700兆ドル(約8京円)」もの残高が、雲散霧消するような事態」が想定されるのである。

つまり、「1980年代の初め」に、全く存在していなかった「デリバティブ」が、「約30年」という期間に、この金額にまで大膨張したわけだが、「お金の性質」や「金融システムの仕組み」から考えると、ほぼ瞬間的に、消滅する可能性が存在するのである。そして、この時になって初めて、世界中の人々が、「行き過ぎた金融資本主義」の弊害を熟慮することになるようだが、現在では、すでに手遅れであり、今後は、世界中の人々が、「金融界の大量破壊兵器」の威力を実感することになるようだ。