本間宗究(本間裕)のコラム
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2014.11.3
黒田日銀総裁のバズーカ砲
10月29日の「FOMCの声明文」に続き、「10月31日」には、「日銀の追加金融緩和」が発表された。そして、このことは、「黒田日銀総裁のバズーカ砲」と呼ばれ、市場からは、好意を持って受け止められたようだが、実際には、大きな注意が必要だと感じている。具体的には、「アメリカの量的緩和終了」が発表された時に、「日銀による、更なる量的緩和が、本当に可能なのか?」ということである。
つまり、「日銀が、どのようにして、国債などの購入資金を調達するのか?」という点が気にかかるのだが、実際には、「80兆円の国債買い付け」が「単なる口先介入」に終わる可能性も存在するようだ。具体的には、「当座預金の増加」に限界点が存在するものと考えており、また、「日本だけが、単独で、量的緩和を継続できるのか?」という問題点も気にかかるのである。
つまり、大幅な「円安」に見舞われた時に、「日本の超低金利状態」が継続できない可能性が存在し、この時には、「国債価格の暴落(金利の急騰)」が起きるものと思われるのである。その結果として、「日銀による紙幣の増刷」が始まることも予想されるのだが、この時には、「インフレ率の急騰」も考えられるのである。つまり、「国民が、実態に気付き、慌てて、実物資産の購入を始める状況」のことだが、過去のケースでは、「紙幣の増刷」が始まると、その後、本格的な「インフレ(通貨価値の下落)」が発生することが見て取れるのである。
そして、現在の日本も、同様のパターンを辿りつつあるものと考えているが、この時に注目すべき点は、やはり、「ケインズの言葉」であり、実際には、「通貨の堕落過程では、百万人に一人も気づかないような状態で、崩壊の力が働く」というものである。別の言葉では、「株価の急騰」や「資産価格の高騰」という「名目的な価格上昇」に目を奪われるために、「通貨価値の下落」には、ほとんど注目されない状況のことである。
また、このような状況が、私が最も危惧する「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」への「移行過程」でもあるのだが、この点については、今後、「円安」と「株高」の状況を見ながら、「国債価格が、どのように変化するのか?」に注目する必要性があるようだ。具体的には、「日経平均が2万円にまで上昇するのに、どれほどの時間がかかるのか?」ということだが、実際には、「誰もが信じられないほどのスピードで、株価や貴金属価格の上昇が起きる」というような展開も考えられるようである。