本間宗究(本間裕)のコラム
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2014.11.26
オランダの金(ゴールド)
11月21日(日本時間の11月22日)に、突如として、「オランダの中央銀行が、アメリカに預けている金(ゴールド)の一部を、本国に返還した」というニュースが流れた。具体的には、「約312トンの内、122トンを、すでに、本国に移送した」というものだが、この点については、11月30日の「スイスの国民投票」と相まって、世界の金融市場に関する「重大な出来事」とも考えられるようである。
つまり、ヨーロッパの中央銀行が、「通貨の本質」を考え始めるとともに、現在の「金融システム」や「通貨制度」に対して、大きな危機意識を持ち始めた可能性のことである。別の言葉では、「第二のリーマン事件」が噂される状況下で、本当の「お金」とも言える「金」を、自国に取り戻そうとしているようだが、海外では、「GOLD(金)」は、「GOD(神)」や「GOOD(良)」と「同義語」であるとも言われている。
このように、現在では、「中国」や「インド」、「ロシア」などに加え、ヨーロッパの中央銀行までもが、「実物資産」である「金」を、手元に置こうとしているが、このことは、「フィアットマネー」という「政府の信用を基にした金融商品」に対する信頼感が減少していることが、最も大きな原因とも言えるようである。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、「影も形も存在しない、単なる数字」が「最も主要な通貨」となり、世界を駆け巡っているが、現在では、ようやく、この点に対する危機意識が芽生えてきたようにも思われるのである。
そして、今後は、この動きが、一挙に、加速する可能性が高まっているが、実際に、「世界的な株高」と同時に、「絵画」や「ダイヤモンド」などの市場において、バブル的な動きが起き始めている。つまり、世界の富裕層は、自分の資産価値を守るために、「稀少価値を持つ商品」に投資をしているようだが、問題は、「この動きが、何時、一般庶民にまで広がるのか?」ということである。
別の言葉では、「日本人の預金神話」が崩壊した時に、「日本人が、どのような行動を取るのか?」ということだが、最も恐ろしいシナリオとしては、「日本人が、恐怖心に駆られ、パニック状態に陥る」ということである。つまり、第二次世界大戦後の混乱状態が繰り返されることだが、このことを避ける方法としては、できるだけ早いうちに、資産の分散投資を実行することであり、また、6か月分の食糧を確保することだと考えているが、現時点では、いまだに、ほとんどの人が、この可能性を考慮していないようである。