本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.12.22

ロシアの混乱

現在、「ロシアの混乱」が世界的な注目を集めているが、この点には、大きな注意が必要であり、また、表面的な意見を鵜呑みにしないことが大切だと感じている。具体的には、現在、ロシアで発生している「金利の急騰」や「通貨の下落」が、間もなく、西洋諸国で起きる可能性があるからだが、このことは、「国家の体力」に関して、きわめて危機的な兆候とも言えるのである。

つまり、国家の信用が失われると、必ず、金利が上昇し、また、通貨が下落するが、現在の問題は、「本当に、ロシアだけが危機的な状況に陥っているのか?」ということである。別の言葉では、「国債を守る陣営」と「金を信用する陣営」のどちらが、「現時点で、有利な局面にあるのか?」ということだが、表面上は、確かに、「アメリカ」や「ヨーロッパ」などの「国債を守る陣営」の方が有利な状態とも言えるようである。

具体的には、「国債価格」が史上最高値圏に位置し、また、「原油」や「貴金属」などの価格は、低迷状態にあるからだが、相場の基本である「これから、どのような展開が想定されるのか?」を考えると、全く逆の意見も考えられるのである。つまり、「国債を守る陣営」にとっては、「これ以上の金融政策や財政政策が実施不能な状態」だが、「金を信用する陣営」にとっては、「国債の売り崩し」という方法が存在するのである。

しかも、先進諸国の国家債務は、時間の経過とともに、増え続ける一方であり、また、「アメリカの量的緩和」が終了し、後は、「出口戦略」という「いつ、金利を上げ始めるのか?」に、世界的な注目が集まり始めているのである。そして、一旦、国債価格の暴落が始まると、「国債を守る陣営」にとっては、現在の「ロシア」と同様に、「金利を急騰させて、自国の通貨を守る方法」が取られることも予想されるのである。

その結果として、「貴金属価格の急騰」という事態も想定されるようだが、実は、今まで「マネーの大膨張」を支えてきた要因として、「ロシアや中国などが、世界の金融市場に参入してきた」という点も指摘できるのである。つまり、かつての社会主義国までもが、世界の資本市場に参入してきた結果として、現在の「世界的な超低金利状態」が実現されたのだが、前述のとおりに、「ロシア」については、すでに危機的な状況に陥っている。別の言葉では、歴史的にも、きわめて異常な「超低金利状態」を支える力が、すでに失われ始めており、このことは、現在の「ロシアの混乱」が、間もなく、「日米欧の国々」へと移転を始める可能性を示唆しているのである。