本間宗究(本間裕)のコラム
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2014.12.22
金融大地震とインフレの大津波
1999年末から、日本証券新聞にコラムの連載を始めたが、お陰様で、700回目を迎えることができた。そして、今回、「金融大地震とインフレの大津波~未来予測への挑戦Ⅱ~」という本を発刊する運びとなったが、今までの推移を振り返ると、実に感慨深いものが存在するようだ。具体的には、連載を始めたきっかけが、「2000年のITバブル崩壊」を警告することにより、多くの人が被害を受けないようにという「想い」だったが、実際には、多くの人が、聞く耳を持たず、バブルに突き進んでいったのである。
また、「2006年末」から「2007年7月に金融大混乱が始まる」と警告したが、やはり、この時にも、ほとんどの人が実情を理解せず、単に、「大恐慌の再来」を危惧しただけの状況だったのである。そして、このような「人々の認識不足」が利用され、その後の「量的緩和(QE)」という名の「問題先送り政策」へと繋がっていったのだが、実際には、「世界の国家債務」が大膨張しただけであり、本当の問題点である「デリバティブ(金融派生商品)」については、一種の「飛ばし」のような状態になったのである。
しかも、この間に、世界的な「金融大戦争」とでも呼ぶべき状態が発生し、実際には、「国債を守る陣営」と「金を信用する陣営」との間で、熾烈な戦いが繰り返されたのである。具体的には、「日米欧の国々が、国債を買い支え、貴金属を売り叩いた状況」のことだが、この理由としては、「デフレを演出することにより、金融のメルトダウンを防ぐ」という点が指摘できるようである。
つまり、「国債価格が暴落すると、世界的な金融システムや通貨制度が崩壊する」という危機感を抱き、無理矢理に、「ゼロ金利政策」や「国債の買い支え」を実施してきたのだが、現在では、全ての「金融政策」や「財政政策」が行き詰まりを見せてきたものと思われる。その結果として、間もなく、「デリバティブの崩壊」、すなわち、「第二のリーマン事件」が起きることも予想されるが、このことが、私の想定する「金融大地震」であり、その結果として、「世界の国々が、一斉に、紙幣の大増刷を迫られる状況」が考えられるのである。
そして、この時には、「インフレの大津波」が襲うものと考えているが、現在でも、「ケインズ」の言葉のとおりに、「百万人に一人も気づかない状況」が継続しているようだ。つまり、大事件が起きた時に、全てが理解されるものと思われるが、できるだけ多くの人が、自分の資産に関して、自己防衛を考え、被害が最小限になることを望む次第である。