本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.7.4

イギリスのEU離脱

「6月23日(日本時間の24日)」に発生した「イギリスのEU離脱」は、歴史的な出来事であり、今後、いろいろな変化を、世界にもたらすものと考えている。そして、この時に重要な点は、「デリバティブの実情」を、正確に理解することでもあるようだが、具体的には、依然として、「イギリス」が「デリバティブにおける世界最大の市場」となっている事実であり、その結果として、今回の「EU離脱」は、「貿易」などの「実体経済」よりも、「マネー経済」に、より大きな影響を与えるものと考えている。

また、この時に必要なことは、世界に存在する「約6京円のデリバティブ」のうち、「約7割が、『金利』に関連した商品である」という事実認識であり、実際には、このことが、現在の「マイナス金利」を生み出した要因とも思われるのである。つまり、「金利の上昇」は、「デリバティブの完全崩壊」に繋がるために、「2008年のリーマンショック」以降、「先進各国が協調して、国債の買い支え」に邁進してきた可能性である。

しかし、その結果として発生したことは、「貧富の格差」であり、また、「富の集中」でもあったようだが、現在では、「国家」や「中央銀行」、そして、「一部のメガバンク」に、「ほとんどの金融資産」が集中した状態とも考えられるのである。つまり、多くの国民は、「超低金利」や「マイナス金利」により、「預金」を持っていても、資産が増えない状況であり、しかも、この時に、「プログラム売買」により、大々的な「国債の買い付け」と「株式や貴金属の売り叩き」が実施されていたものと思われるのである。

つまり、「金融抑圧」という言葉のとおりに、「国家財政の破綻」を防ごうとして、さまざまな「金融のコントロール」が実施されていたようだが、今回の「イギリスのEU離脱」については、この不満が、表面化した可能性が存在するようである。そして、今後は、今まで抑えられていたエネルギーが、一挙に、表に出始めるものと考えているが、この時に大切な点は、「コンピューターマネー」と「現実のマネー」との違いを理解することでもあるようだ。

具体的には、現在の「お金」が、「影も形も存在しない、単なる数字」に変化した事実であり、このために、現在の「金融抑圧」が可能になったようにも思われるのである。しかし、今後は、「国債バブルの破裂」とともに、大きな上昇圧力が、「紙幣」に掛かり、そして、その後は、順番に、「貴金属」や「商品」、そして、「株式」に移行することが想定されるのである。