本間宗究(本間裕)のコラム
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2016.7.14
バングラディッシュのテロ事件
「7月2日」に発生した「バングラディッシュのテロ事件」では、「7名の日本人」が犠牲になったが、「バングラディッシュの発展に貢献しようとした人々が、なぜ、殺されなければいけなかったのか?」を考えると、実に、「やりきれない思い」を抱かざるを得ない状況でもあるようだ。ただし、「IS(通称:イスラム国)が、どのようにして誕生したのか?」を考えると、「何が正義で、何が悪なのか?」についても、同時に、考えざるを得ないようにも思われるのである。
つまり、「2003年」に発生した「イラク戦争」により、「イラク」が、実質的に崩壊し、このことが、回りまわって、今回のテロ事件に繋がった可能性も存在するからだ。そして、このような「頻発するテロ事件」を見て感じたことが、「西暦400年前後の蛮族の襲撃」だったが、当時の資料では、「数百年間もの繁栄を誇った西ローマ帝国が、蛮族の襲撃などにより、短期間の内に滅んだ」とも述べられているのである。
ただし、この点については、「内憂外患」という言葉のとおりに、「外部からの攻撃」に加えて、「内部での崩壊」が存在したために、このような結果となったようだが、実際には、「啐啄同機(さいたくどうき)」という言葉のような状況が発生した可能性もあるようだ。つまり、「卵が孵化する時に、内側から雛鳥がコツコツとつつく様子を『啐』と呼び、親鳥が外側からつつくことを『啄』と呼ぶ」というものだが、この点については、「卵」だけではなく、「文明」や「金融システム」、あるいは、「大組織」などの崩壊時に起こる現象とも言えるようである。
つまり、頻発する「テロ事件」が、外部からの崩壊圧力であり、また、「通貨の堕落による、金融の弱体化」が、内部からの崩壊圧力だと考えているが、現在では、両方からの圧力が高まりを見せている状況とも考えられるのである。別の言葉では、「世界各国の中央銀行が、国債を大量に買い付けている状況」が、「民間金融機関の、実質的なマヒ状態を生み出す可能性」に繋がることを危惧するとともに、「紙幣の増刷」以外に、打つ手が無くなったと思われる「先進各国の現状」を鑑みると、今から1600年前の「西ローマ帝国」の崩壊を考えざるを得ないのである。
そして、この点が、はっきりと認識され始めるキッカケが、「国債価格の暴落」だと思われるが、現在では、この点を危惧する人々が、急速に、「貴金属」や「株式」などの「実物資産」を買い始めているようである。