本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.6.15

日銀を巡る論争

現在、「日銀を巡る論争」、すなわち、「日銀が、2%のインフレターゲットを達成した時に、どのようなことが起こるのか?」が市場の話題になっている。つまり、「日銀が債務超過に陥る可能性は存在しないのか?」、そして、「日銀の財務健全性に問題は発生しないのか?」という「2点」のことだが、この点に関して、「日銀」は「債務超過に陥る可能性は低く、また、長期的な財務の健全性にも問題は無い」と考えているようだ。

しかも、「政府から日銀への資本注入」については、「まったく必要がない」とも想定しているようだが、この点には、大きな注意が必要であり、また、「間もなく、答えが出るのではないか?」とも感じている。つまり、「6月10日」現在で、「約504兆円」という規模にまで大膨張した「日銀のバランスシート」を詳細に分析すると、「すでに債務超過に陥っている可能性」や「今後、日銀の資金繰りが、急速に悪化する可能性」が想定できるからである。

具体的には、「約350兆円」にまで膨らんだ「日銀の当座預金」については、「2%の金利」が「約7000億円の利払い」に相当する計算ができるとともに、「金利の性質」として、「2%で留まらず、その後、5%や10%にまで急騰する可能性」が存在するからだ。しかも、現在では、私の想定する「日米英の金融三国同盟」が完全崩壊した状態のようにも思われるが、このことは、今まで、「デリバティブ」や「国債」に関して、「日米英の三国が、水面下で強調してバブルの崩壊を防いできた可能性」のことである。

つまり、現在では、「イギリスのEU離脱」、「トランプ大統領の誕生」、そして、「安倍首相の加計学園問題」などにより、「政府」への信頼感が減少し、その結果として、「金利の上昇圧力が高まっている状況」のようにも感じられるのである。また、「6月14日」には、「米国の利上げ」が実施されるとともに、「年内にも、保有資産の圧縮が想定されている状況」でもあるために、「7月半ば」にも、「何らかの事件が、金融面で発生する可能性」が危惧されるのである。

具体的には、「デリバティブ」や「国債」に関して、「巨額な損失」が発覚する可能性のことだが、このような状況下で、「中央銀行」が取れる政策は、すでに、「紙幣の増発」しか存在しないものと考えている。そして、このことが、本当の「インフレ(通貨価値の下落)」を意味するのだがが、実際には、ほとんどの人が、いまだに「デフレ」を心配し、「預金や国債が安全資産である」と考えているようだ。