本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.9.10

現代人の神通力

仏教では「成仏」という言葉のとおりに、「誰でも仏のような存在になれる」と教えられているが、この点に関する問題点としては、最初に、「現代人」が望んでいるものが、「天爵」という「精神的な成長」ではなく、「人爵」という、「地位や名誉、そして、お金」であるという事実が指摘できるものと考えている。つまり、「西暦2000年」の前後にピークを付けたものが、「お金で、人々の心までも買うことができる」という考え方だったが、現在では、「時代の価値観」が変化し、徐々に、「精神的な成長こそが、人生で、最も大切なことである」と理解する人々が増え始めたようにも感じられるのである。

別の言葉では、「文明法則史学」が教えるとおりに、「800年毎に、西洋的な価値観から東洋的な価値観へ移行する状況」のことだが、この点に関して、最も重要なポイントは、過去数百年間の「西洋の時代」に、「自然科学」という「目に見える物質」に関する研究が発展したことだと考えている。具体的には、「西暦1600年頃」に「時は金なり」という思想が誕生し、また、その前後から、「ケプラーからニュートンへ」という言葉で象徴される「科学技術の発展」が始まったことも見て取れるのである。

ただし、この時に、最も注目すべき点は、「現代人の神通力」とでも呼べるような「どのような方法で、革新的な智慧が得られたのか?」ということだと考えている。つまり、「脳」か、それとも、「心」か、ということだが、実際には、「ニュートン」や「エジソン」が指摘するとおりに、「何故」を考え続け、「99%の努力」の結果として、「1%の霊感や閃き」が得られた状況だったことも理解できるのである。

別の言葉では、「自分に与えられた環境」において、「日々の努力」を継続すると、必ず、「何故、このようなことが起こるのか?」という疑問が出てくるわけだが、このような「答えの出ていない問題」を、延々と考え続けた時に、初めて、「天や神の智慧」である「閃き」が得られるのである。しかも、このことは、「誰にでも、例外なく発生する現象」であり、実際には、このことが、前述の「成仏」が意味することだと感じている。

つまり、現代人が望んでいるものは、「答えがある問題」を、「いかに正確に、そして、速く答えるのか?」という「脳を重要視する態度」だったが、この結果として発生したのが、「脳と心の関係性」が産み出す「悩み」だったのである。そのために、今後は、「社会科学」においても、「自然科学」と同様に、「99%の努力と1%の霊感」が重要視され、この結果として、「社会全体が、飛躍的な発展を遂げる可能性」を想定している。