本間宗究(本間裕)のコラム
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2019.9.23
中国の誤解と香港の騒動
「香港を巡る騒動」には、たいへん根深い要因が存在するようだが、私自身は、「歴史認識に関する中国の誤解」が、大きな意味を持っているものと考えている。つまり、「2049年に、中国が世界の覇権国家になる」という「野望」を抱いている可能性のことだが、この根拠としては、「20世紀の初頭に、世界の覇権国家がイギリスからアメリカへ移行した」という事実が指摘できるようである。
別の言葉では、「武力と資金力を背景にして、世界を支配する覇権国家」について「中国が、大きな誤解をしている可能性」である。具体的には、「西暦1200年から2000年」という「西洋の時代」、そして、「唯物論が中心の価値観となった時代」において、初めて「覇権国家」という概念が誕生し、また、「イギリスからアメリカへの覇権国家の移動」が可能になった状況のことである。
ただし、この点については、「1600年前の西ローマ帝国時代」においても、似たような展開が繰り広げられたものと考えているが、実際には、「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」と呼ばれる「覇権国家」が成立した状況のことである。つまり、「イギリスからアメリカへの覇権国家の移動」については、「西ローマ帝国時代と同様に、同じ文明内での覇権移動にすぎなかったのではないか?」とも思われ、そのために、今回は、「時代の価値観」の変遷により、「今後、アメリカから中国への覇権国家の移行は、決して、実現されないのではないか?」とも感じられるのである。
しかも、今後は、「中国の矛盾」が浮かび上がる可能性を憂慮しているが、実際には、「共産党の一党支配」という「史的唯物論の遺産」とでも呼ぶべき政治体制が、依然として継続している状況のことである。別の言葉では、「西洋の価値観」を象徴する「唯物論」が依然として存在し、しかも、「資本主義の後には、社会主義や共産主義の時代が訪れる」という「史的唯物論」を信奉しない限り、「共産党の一党支配」が、理論的に継続可能な状況とは言えないものと思われるのである。
そして、この矛盾が表面化したのが、今回の「香港の騒動」のようにも感じているが、基本的には、「香港国民の不満」に関して、「どのような形で解消されるのか?」が、大きな注目点とも言えるようである。具体的には、「天安門事件」のように、「国家権力が、無理矢理に暴動を鎮静させる方法」も想定されるが、私自身としては、より巨大な問題である「世界的な金融大混乱」に飲み込まれ、自然消滅する展開を想定している次第である。