本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.2.14
金利と株価
現在、世界的な金利上昇が始まっているが、この点に関して興味深い現象は、「長期間にわたる超低金利状態により、ほとんどの人が、正常な思考状態から逸脱している可能性」とも言えるようである。つまり、日本においては、「1999年2月から、実質的なゼロ金利政策が実施されている状況」となっているために、「なぜ、現在、金利が上昇を始めているのか?」が理解できないだけではなく、「金利が上昇すれば、株価の暴落が発生する」というような「根拠のない悲観論」までもが囁かれているのである。
より具体的には、「実体経済」と「マネー経済」との区別ができず、また、「デジタル通貨の異常な大膨張」も認識されていない状況のために、「古典的な経済学的認識」である「金利上昇と株高は、好景気の証拠である」というような意見が聞かれる状況のことである。あるいは、「金利上昇が株式バブルの崩壊を導く可能性」を憂慮する人々も、数多く存在するようだが、実際には、「信用本位制のもとで大膨張したデジタル通貨」が認識できないかぎり、「今後、どのような展開が予想されるのか?」が理解できないものと感じている。
別の言葉では、「貨幣と商品との関係性」を理解すれば、「今後、人類史上、未曽有の規模で大インフレ(通貨価値の下落)が発生する可能性」が憂慮されるとともに、「金利と株価の急騰が同時に発生する事態」も、簡単に理解できるのである。つまり、「ギャロッピング・インフレからハイパーインフレへ」という「従来のインフレ理論」が働き始めている状況のことだが、この時に問題となるのが、「デリバティブ」という「金融商品」の存在とも言えるようである。
より詳しく申し上げると、現在の状況としては、「実体経済の約10倍という規模にまで大膨張したマネー経済」が破裂し始めるとともに、「大量の資金が、実物資産へ流入し始めている段階」とも言えるのである。つまり、今までは、「金融のコントロール」と「価格の抑え込み」により、「デフレの状態」が人為的に形成されてきたわけだが、今後は、「海中のビーチボール」のように、急激な価格上昇が、「株式や貴金属などの実物資産」で発生する可能性が高まっているのである。
より具体的には、「人類史上、最大規模の大インフレが、すでに始まっている可能性」のことであり、今後は、この点を理解した人が「投資における勝者」になるものと思われるが、より重大な懸念事項は、「お金があれば幸せになれる」と錯覚した人類が、「地球から淘汰されるとともに、お金が役に立たなくなる可能性」のようにも感じている。