本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.3.30

連鎖破裂を始めたデリバティブの時限爆弾

野村証券が巨額の損失を被った「アルケゴス・キャピタルの株式投資における損失事件」は、以前から申し上げていた「デリバティブの時限爆弾が連鎖破裂を始めた状況」だと考えている。つまり、「2008年前後に約8京円で残高のピークを付けたデリバティブ(金融派生商品)」については、その後、「国債の大量買い付けにより、きわめて異常な超低金利状態が造り出された状況」、すなわち、「量的緩和(QE)」の名のもとに、実質的な隠ぺいが行われた状況だったものと想定されるのである。

より具体的には、「デリバティブの完全崩壊」を許すと、「世界の金融システム」までもが崩壊する可能性が存在したために、「日米欧の中央銀行」を中心にして、「国民の資金を借りて、国債の大量買い付けを実施した」という展開のことである。そして、この手段については、「中央銀行が、国民から資金の借り入れが可能な限り、また、国民が実情に気付かない限り、問題発覚の先送りが可能だった」という状況でもあったのである。

しかし、現在では、ご存じのとおりに、「世界的な金利上昇」という「爆弾が破裂する予兆」が発生しており、この結果として、「時間の問題でデリバティブ爆弾の破裂が始まる展開」が想定されたのである。別の言葉では、「四次元の経済学」から判断できたことが、「デジタル通貨の枯渇により、デリバティブに関して、巨額の損失が発生する可能性」であり、また、これから想定されることは、「デリバティブの時限爆弾が、今後、連鎖的に破裂し、数か月後には、残高がゼロ近辺にまで落ち込む可能性」とも言えるのである。

つまり、これから予想される事態は、もっとも巨額な残高を保有する「金利デリバティブ」に関して、巨額損失が発生し、その結果として、世界の金利が急騰する事態とも考えられるのである。そして、結果としては、「最後の貸し手」である「中央銀行」が、世界的に「紙幣の大増刷」を始める展開も想定されるが、この時には、以前から指摘してきたとおりに、「紙幣はコンピューターネットワークの中を流れることができない」という「金融界の白血病」が発生するものと思われるのである。

別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった、私が提唱する「信用本位制」という通貨制度が継続不能な事態に陥る可能性のことである。そして、この点については、「ケインズ」が指摘するとおりに、「どのような通貨制度も、50年程度が有効性の限界点である」という状況であるとともに、今後は、「未曽有の規模の大インフレを経て、新たな通貨制度が模索される展開」を想定している。