本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.6.11
原点の再確認
6月10日付けの日経新聞に掲載された「ジャック・アタリ氏のコメント」を読むと、「観光業の未来については、確かに、原点の再確認をすべきである」と感じたが、同時に考えたことは、「より深い分析が必要ではないか?」ということでもあった。つまり、今回の「コロナ・ショック」により、多くの人々が原点回帰を始めたわけだが、基本的には、「どこまで過去の歴史を遡るのか?」により「見えてくる世界」が違ってくるのである。
別の言葉では、「観光業」については、過去数年間の歴史を振り返るだけで十分の状況とも思われるが、「金融業」については、最低でも「過去50年間の歴史」、そして、「産業全体」については、「過去200年間の歴史」を振り返る必要性が存在するものと思われるのである。つまり、現在の「超低金利状態」や「DX革命」などの未来を予想するためには、「1971年のニクソンショック以降、どれほどのデジタル通貨が産み出されたのか?」を理解する必要性が存在するものと考えられるわけである。
より具体的には、1960年代までの「大量生産、大量消費」の文明が、現在では、「実体経済からマネー経済へと移行した状態」のことでもあるが、結論としては、「1984年のロスアンゼルス五輪」の頃から、「お金」が力を持つとともに、「お金が全てである」というような認識を持つ人が、急速に増えてきたことも理解できるのである。別の言葉では、「地球温暖化」の原因の一つが、「大量に存在するマネー(お金)」であり、今回の「コロナ・ショック」については、「風邪を引き、熱が出た地球」が「コロナウイルスを発生させることにより、人類を淘汰し始めた可能性」も想定できるのである。
そのために、これから必要なことは、最初に、「マネーの原点」を考えることであり、実際には、「過去50年間の期間で、どれほどのデジタル通貨やペーパーマネーが、どのようにして創り出されたのか?」を理解することである。そして、次に必要なことは、「産業革命以降、どれほどの産業が、どのようにして発展してきたのか?」を理解することでもあるが、この時に注意すべき点は、やはり、「マネー経済」と「実体経済」の関係性、すなわち、「どのような商品が産み出され、それとともに、どのような通貨が造り出されたのか?」を深く研究することである。
つまり、「西洋の唯物文明」が、現在、崩壊の危機に瀕している状況を理解し、次の「東洋の唯心文明」に備える動きのことであり、今後は、この点を理解し、実践した人々が「次の時代の成功者」になるものと思われるのである。