本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.7.2
チャイナ・アズ・ナンバーワン
7月1日に行われた「中国共産党創立100周年式典」で、「習近平総書記」」は、歴史に残る「迷演説」を行ったようだが、具体的には、「歴史を教訓とせず、また、未来の可能性を潰すような内容」だった可能性のことである。つまり、すでに時代遅れとなった「マルクス主義」に関して、「党の魂と旗印であり、中国共産党の指導思想である」と述べているわけだが、このことは、「資本主義の崩壊後に、社会主義の時代が訪れる」という「誤った考え」を踏襲している状況のようにも感じられるのである。
別の言葉では、「中国5000年の歴史」を無視して、「西洋の誤った思想」を取り入れた状況とも思われるが、本来、「中国哲学」と呼ばれるものは、「インド仏教や道教、あるいは、儒教などを基礎にした人間哲学」とも言えるのである。つまり、「共産党の一党独裁」、あるいは、「独裁者の崇拝」とは、全く正反対の位置にあるわけだが、今回の演説では、悪名高き「中華思想」が全面に押し出されていたようにも感じている。
より具体的には、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という「ほめ殺しの言葉」により「自滅の道を辿った日本」から想定されるように、現在の中国は、「指導者そのものが、チャイナ・アズ・ナンバーワンと自画自賛するような状況」とも思われるのである。別の言葉では、「1945年の敗戦」から「約45年後」に、「実体経済の成長が引き起こしたバブル」が、日本で崩壊したわけだが、現在の中国については、「デリバティブのバブル」が引き起こした「マネー大膨張」の恩恵を受けて、「奇跡的、かつ、未曽有の規模での経済成長を達成した段階」とも言えるのである。
ただし、今後の注目点としては、「マネーの根幹である信用」に関して、「中国共産党の戦狼外交が、世界全体を敵に回す可能性」、すなわち、「中国の信用が、一挙に崩壊する可能性」も考慮すべき状況とも思われるのである。そして、結果としては、「共産主義(コミュニズム)」の真意である「コミュニティーへの回帰」が発生するものと思われるが、このことは、「中国の三国志」が復活するような展開とも言えるのである。
つまり、「中国の統一」ではなく、「中国の分裂」のことでもあるが、この点については、「1991年のソ連」が典型的な例であり、現在の中国は、この事実を反面教師として成功したのである。しかし、実際には、「資本」という「お金」を頼りにした国家が、「国家の財政問題により、あっという間に崩壊する展開」が想定されるわけだが、この点については、「先進各国」も「中国」と同様に危機的な状況とも言えるようである。