本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.8.4
日銀離れを始めた日本の金融市場
8月3日付けの日経新聞によると、「日本株の日銀離れ」が始まったとのことだが、具体的には、「日銀による日本株の購入」に関して「買い付け金額」が激減している状況のことである。そして、このことは、「異次元の金融緩和」と呼ばれる異常事態に関して「正常化」が始まっている可能性とも思われる、この点において、最も注目すべき事態は、「当座預金と国債保有の残高が、今後、どのような変化を見せるのか?」ということである。
より具体的に申し上げると、「2012年から始まったアベノミクス」の本質は、「日銀が当座預金の残高を増やし、国債などの資産を買い付けることにより、超低金利状態を維持する」ということだったのである。別の言葉では、「金利やインフレ率の上昇がもたらす国家の財政危機」に関して、「デフレを喧伝し、国民の目をそらすこと」が主な目的だったものと考えられるのである。
その結果として、現在では、「日銀のバランスシート総額が約720兆円」、そして、「日本のGDPが約560兆円」というように、前代未聞の異常な状態が継続していることも見て取れるのである。つまり、「国民が気付かない限り、政府は、どのような暴政も実施が可能である」という状況となっているわけだが、この点については、「非理法権天」という言葉のとおりに、「最後に、天地自然の理が働き、世の中が正常化される」ということが過去の歴史が教えることである。
そして、現在は、「株式市場における日銀離れ」が発生している状況でもあるが、より注目すべき点は、前述のとおりに、「当座預金残高の変化」であり、実際には、「国民が預金を引き出して、実物資産に投資を始める展開」のことである。つまり、「銀行預金の残高減少」は、その後、「当座預金の残高減少」に繋がり、この時の問題は、「その時に、日銀が、どのような手段を行使できるのか?」ということである。
具体的には、「国債の売却」ができないために、「紙幣の増刷」が実施される可能性のことであり、このような状況下では、「コンピューターネットワークの中を流れることができない紙幣が、決済面での大問題を引き起こす可能性」が予想されるのである。つまり、以前から指摘してきた「金融界の白血病」のことだが、今回のオリンピックを見て感じたことは、「池江選手の復活からも理解できるように、混乱の時期が短期間に終わる可能性」であり、また、「人間の知恵と努力の結集、そして、ニーチェが指摘する超人の出現により、新たな世界が切り開かれる可能性」でもあった。