本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.8.14
インフレ大津波の現状
現在は、「インフレ大津波の第二波」が始まった段階とも考えているが、この点に関して、「歴史の証言者の一人」として痛感することは、「現時点でも、世界中の人々の最大関心事が、自分自身のマネー(お金)に集中している状況」である。つまり、「コロナや自然災害などにより、自分の命が脅かされている事態」でありながら、いまだに、「地球温暖化の根本的な原因が、過剰な債務を基にした、人類の無謀な経済行為にある」という事実に気付いていない状況のことである。
しかも、最近では、さまざまな指標が、「人類史上、未曽有の規模の大インフレ到来」を実証するような状態となっていながらも、いまだに、「アウシュビッツの恩赦妄想」のように、「日本の財政が破たんすることはなく、そのために、決して、インフレは発生しない」という理解や認識が蔓延している状況とも言えるのである。つまり、「水茹での蛙」の状態になっているものと思われるが、この理由としては、「2008年前後のGFC(金融大混乱)」という「金融の大地震」以降、「インフレの大津波が、実体経済を脅かさない状態」だった点が指摘できるようである。
より詳しく申し上げると、「金融の逆ピラミッド」において、最上段に位置する「デリバティブ」がメルトダウンを継続したことにより、その下部に位置する「債券」や「預金」、そして、「株式」などが、未曽有のバブル状態に陥った可能性である。つまり、過去の「ハイパーインフレ」の時と同様に、「名目上の資産価値」が上昇し続けたために、「通貨価値の激減」という、本当の意味での「インフレ」に気づかなかった状況のことである。
ただし、現在は、「インフレ大津波の第一波」が終了し、間もなく、「金利の急騰」とともに、「大津波の第二波」に見舞われる段階とも感じているが、この時の注目点は、やはり、「商品の3S」と言われる「砂糖(SUGAR)」、「大豆(SOYBEAN)」、そして、「銀(SILVER)」の価格動向だと感じている。そして、この理由としては、これらの価格が史上最高値を付けた時には、世界中の人々が、いやでも、インフレ大津波を実感せざるを得ない状態に陥るものと感じられるからである。
別の言葉では、「自分の持っているお金の購買力が激減し、庶民の生活が苦しくなる状況」、すなわち、「後生大事に守ってきた預金が、実質的な目減りを始めている状況」のことでもあるが、現時点では、「すでに、このような状態が始まっており、後は、どれだけの人々が、現状に気づくのか?」という段階に入っているものと感じている。