本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.9.9

量的緩和の真実

20年ほど前から始まった「日本のゼロ金利政策と量的緩和」については、日本国民も、そろそろ、「真実の姿」に気付き始めた状況とも思われるが、実際には、本来、「日銀の準備預金」だったものを「当座預金」に名称変更し、「日本国民の預金を吸い上げ、合法的に国債の買い付けを実施した状況」のことである。別の言葉では、戦後の高度経済成長で積み上げられた「日本国民の預金」を使いながら、「日本のバブル崩壊」で発生した不良債権を、時間をかけて償却する方法とも言えるようである。

ただし、この点に関して、最も注目すべき事実は、「1990年に発生した日本のバブル崩壊」が「実体経済の成長限界」を表していたものの、その後に発生した変化は、「マネー経済のバブルと、その崩壊」だったのである。つまり、「デリバティブの大膨張」のことだが、この点については、現在でも「真実が隠ぺいされた状態」となっているものの、「王様の耳はロバの耳」という物語のとおりに、「金利の上昇とともに、真実が暴露され始めている状況」のようにも感じている。

具体的には、「日銀による異次元の金融緩和」が、実際には、「日本の財政破綻」に関して、「時間稼ぎ」と「問題の先送り」の役割を果たしたものの、この時に、問題を複雑にしたのが、いわゆる「デリバティブとデジタル通貨の大膨張」だったのである。つまり、「1945年8月15日」という「日本の終戦」から「1971年8月15日」という「ニクソンショック」までの期間が「26年」であり、また、その26年後の「1997年8月13日」が「世界的な信用収縮の発生日」だった展開のことである。

より具体的に申し上げると、「実体経済の成長」の後に「経済の金融化」が発生し、その後の「マネー大膨張」については、実際のところ、「マネーの発散、そして、消滅の期間」だった可能性のことである。つまり、「ニクソンショック」からの「約50年」という期間は、「マネーを大膨張させて、その後に、大インフレで発散させる過程」だったものと想定されるが、現在は、最終段階の「ハイパーインフレ」へと向かう「ギャロッピング・インフレ」の始まりの段階とも思われるのである。

ただし、その後の展開としては、「金融敗戦後に始まる創業の時代」が想定されるために、私自身としては、一刻も早く、「新たな東洋の時代」の始まりを期待している状況でもあるが、やはり、問題は、その前に発生する「産みの苦しみ」であり、実際には、これから想定される「本格的な大インフレ」だと考えている。