本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.9.24
30年前と現在との違い
「中国不動産のバブル崩壊」について、「30年前の日本」と似ている点が指摘され始めているが、この理解には、大きな注意が必要だと感じている。つまり、表面上の「不動産バブル崩壊」については、確かに、「30年前の日本と同様の展開」になるものと思われるが、大きな違いとしては、「世界的な金融システムの脆弱性」が指摘できるのである。
具体的に申し上げると、「1990年の日本バブル崩壊」で発生した不良債権は、その後、「金融機関」、そして、「国家や中央銀行」に移行したわけだが、当時の情勢としては、「金利低下による金利負担の減少」が発生したことも理解できるのである。つまり、「デリバティブのバブル発生により、世界の金利が急低下し始めた」という事実により、今回の「中国のバブル崩壊」とは違い、問題の先送りが容易な状況だったのである。
しかも、「1991年のソ連崩壊」が、「共産主義諸国の資本主義化」という結果をもたらし、このことも、結局は、「世界的な金利低下」に貢献したわけだが、今回は、反対に、「米中の対立激化」により「世界的な信用が失われ、金利が上昇している状況」となっているのである。つまり、「マネーの根本」である「信用」が減少しているために、「1971年」から始まった「信用本位制」とも呼ぶべき「現在の通貨制度」が破たんしかかっており、その結果として、「大量のデジタル通貨」が存続の危機に直面しているのである。
より具体的には、「デジタル通貨の大量創造」が産み出した「DX革命」というのは、基本的に、「アナログからデジタルへ」という「情報や資金の効率化への動き」が、大きな原因だった可能性のことである。つまり、「情報の一部だけを切り取っているデジタル化」については、「マクロ物理学の申し子」とも言える状況だったようだが、今後は、「アナログ化」が必要とされる「ミクロ物理学」の時代が始まるものと思われるのである。あるいは、「東洋の唯心論」が発展することにより、「西洋の唯物論」で忘れ去られた「心の謎」が、深く解明され始める状況も想定されるが、この時に発生する変化は、「デジタル通貨に関する世界的な疑問」とも思われるのである。
つまり、「デリバティブという金融商品」が中心となって産み出した「大量のデジタル通貨が、人々の欲望を過剰に刺激し、その結果として、世界的な環境破壊や異常気象に繋がった可能性」が検証し始めるものと思われるのである。しかも、現在では、すでに、「マネーの収縮」が始まっており、実際のところ、「1600年に一度」ともいうべき「マネーの大膨張」は、いまや「過去の歴史」となった状況とも言えるようである。