本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.4.4
人間社会で最も大切なもの
今回の「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」は、「人間社会で、最も大切なものは何か?」を考えるための、キッカケとなる事件の一つだったものと思われるが、実際には、「孔子」が教える「軍事力よりも大切なものは食料であり、また、食料より大切なものは信である」ということである。つまり、「人間社会」と「大自然界」の区別、すなわち、「人間」と「動物」の違いは、「他人を信じること」にあるものと考えられるが、今回は、「ロシア人とウクライナ人とが殺し合いを行った状況」だったのである。
別の言葉では、大量に存在する「兵器」を使用して、「同じ民族同士の大量虐殺」が発生したわけだが、この時に重要な点は、「命が失われたら、食料が役に立たなくなる事態」とも言えるのである。つまり、平和な時代には、「命の大切さ」が理解されず、「食料の方が、より重要だ」と考えがちになるものの、実際の戦争の場合には、「食料よりも、他人を信じる重要性」を認識せざるを得なくなる状況のことである。
このように、現在では、「世界中の人々が、信の重要性を認識し始めた状況」とも思われるが、この点に関して重要な事実は、「お金は信用を形にしたものだ」ということである。つまり、過去800年間の「西洋の物質文明」において、「マネーの大膨張」が発生したわけだが、現在では、根本の「信用」そのものが、完全崩壊の状態を迎え、すでに、本格的な大インフレの時期が始まったものと考えられるのである。
そのために、これから必要なことは、「文明の大転換期に、どのようなことが起こるのか?」を理解することであり、実際には、「マネーの遠心力」、すなわち、「マネーの大膨張に伴う文明社会の発展」を正確に分析することだと感じている。つまり、今後は、「マネーの実質的な大収縮」により、既存の常識が完全崩壊するものと考えているが、具体的には、「規模の経済学」などが反転期を迎える可能性である。
より詳しく申し上げると、「マネーの膨張期」には、「企業や国家の規模が大きくなる可能性」、すなわち、「市場経済化」が発生するものの、今後は、「人々の求めるものが物質から精神性へと変化する可能性」があり、その結果として、「1600年前と同様に、宗教などの組織が拡大するのではないか?」とも想定されるのである。つまり、既存の社会体制が崩壊し、大混乱に見舞われた人々は、「信頼できる人々と、小さな共同体を結成する可能性」が予想されるが、実際には、このことが、1600年前と同様の「東洋の精神社会」の始まりであり、また、その後、約800年間、継続する状況も想定されるのである。