本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.4.16
世界的メガバンクの変調
最近の「顕著な変化」としては、「世界的なメガバンクの変調」が挙げられるものと思われるが、実際には、「デリバティブの主役」である「JPモルガン・チェース」や「ゴールドマンサックス」、あるいは、「ドイツ銀行」などの株価と業績が、従来とは違った動きを見せているようにも感じられるのである。つまり、「インフレ率の急上昇」に伴い、「世界各国の金利」も、徐々に、上昇基調となっており、その結果として、「いまだに約500兆ドル(約6.3京円)もの残高が存在する金利デリバティブ」に関して、いよいよ、完全崩壊の芽が出始めた段階のようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「オフバランス(簿外)で取引されている店頭デリバティブ」については、「過去10年余りの期間、残高が、ほとんど減少しなかった」という状況であり、特に、「約7割の規模である金利デリバティブ」については、「先進各国の量的緩和政策により、残高の減少が、ほとんど見られなかった状況」だったことも見て取れるのである。つまり、「大量の国債買い付けによる、超低金利状態の維持政策」により、今まで、「デリバティブのバブル崩壊」が遅らされてきたわけだが、現在では、徐々に、「メガバンクの株価が下落し、また、業績の悪化が顕著になり始めた状況」となっているのである。
そして、このことは、数か月後に想定される「前代未聞の世界的な金融危機」、具体的には、「先進各国の中央銀行や政府が、一斉に、破たんの危機に瀕する状況」の予兆のようにも思われるのである。つまり、今までは、「大量のデリバティブ」が創り出した「同規模のデジタル通貨」の存在により、「コンピューターネットワークという仮想現実の世界で、金融商品の価格が操作可能な状況」だったようにも感じられるのである。
別の言葉では、いわゆる「通貨発行特権」と呼ばれる力が、「デリバティブ」が産み出した「デジタル通貨」にも存在したものと思われるが、現在では、「中央銀行による国債などの買い付け」により、従来の超低金利政策が維持不可能な状況に陥り始めたものと考えられるのである。より具体的には、「中央銀行のバランスシート残高の増加が、紙幣の増発以外では難しくなった状況」となり、この変化に気づき始めた人々が、一斉に、「実物資産への投資」を増やし始めた可能性である。
そして、このことが、現在の「インフレ率急上昇」の真因とも思われるが、今後の変化としては、今回の「ウクライナ戦争」と同様に、「ある日突然に、大事件が発生して、世の中が急展開する可能性」が想定されるものと考えている。