本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.6.3

経済のハリケーン

「6月1日」の「JPモルガン・チェースのダイモンCEO」に続き、翌日には、「ゴールドマンサックスのウォルドロン社長」が、金融大混乱への警告を発しているが、この点は、より詳細な説明が必要だと感じている。つまり、彼等が危惧する「経済のハリケーン」を理解するためには、「経済」の部分を、「実体経済」と「マネー経済」に分ける必要性が存在するものと考えられるのである。

より具体的には、「過去100年間に、どのような商品と通貨が誕生し、かつ、発展してきたのか?」ということであり、また、「実体経済の成長に伴い、マネー経済が、どのような発展を遂げたのか?」を、実際の数字で把握することである。そして、この手法から得られる結論は、「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張」に関して、間もなく、「本格的な大波乱が発生する可能性」のようにも感じられるのである。

つまり、「JPモルガン・チェース」や「ゴールドマンサックス」などは、「デリバティブの取引」に関する当事者でもあるが、現在は、「金利」や「インフレ率」の上昇に伴い、「いまだに約500兆ドル(約6.5京円)もの残高を有する金利デリバティブ」に関して、「バブル崩壊の危機」に直面している可能性を示唆したものと想定されるのである。別の言葉では、「インフレの大津波」に関して、「第二波、あるいは、第三波が、世界全体を襲い始める可能性」に言及し始めた可能性とも言えるようである。

そのために、「今後、どのような混乱が予想されるのか?」についても、「ハリケーン」などの「曖昧な表現」ではなく、「金融界の白血病」、すなわち、「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない状態」というように、「具体的な表現」が必要とされているものと感じられるのである。つまり、「デリバティブの時限爆弾が破裂する可能性」であり、また、「この時に、世界各国の中央銀行が、一斉に、紙幣の大増刷を始める可能性」のことである。

より詳しく申し上げると、「世界のマネー経済が、一挙に、名目的な大膨張と実質的な収縮を始める可能性」であり、実際には、「大量のデジタル通貨が、紙幣に変化し、急速に、実物資産に向かい始める展開」のことである。つまり、「劇場の火事」のような状況、すなわち、「大量の資金が、小さな食料や貴金属などの実物資産の市場に向かう状況」が想定されるが、この時の問題点は、やはり、「お金があっても、買える商品が存在しなくなる可能性」とも想定されるのである。