本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.10.11
制御不能状態に陥る世界の金融市場
現在の「世界的な金融混乱」は、間もなく、「デリバティブのバブル崩壊」を引き起こすことにより、「制御不能な状態」に陥るものと思われるが、この点については、「100年ほど前に誕生した世界各国の中央銀行」に関する分析が不可欠だと考えている。具体的には、「世界的なマネー大膨張」について、「民間金融機関」のみならず、「中央銀行」や「政府」の役割が、きわめて大きかった状況のことである。
しかも、この点に関して、「複雑系の学問」が指摘する「前半と後半とに分かれる可能性」も想定されるために、今回は、「1971年までの実体経済の成長」と「それ以降のマネー経済の成長」を考える必要性があるものと感じている。また、「1971年からの約50年間」についても、「前半と後半の26年間」に分かれる可能性があり、同時に、「後半の26年間」も、「前半と後半の13年間」とに分類可能な状況とも思われるのである。
より具体的には、「実体経済の成長期間」とも言える「1971年までの状況」については、「二次産業」や「三次産業」などが、世界的な発展を見せたものの、その後は、「実体経済」よりも、「マネー経済」の成長が勝ったことも見て取れるのである。別の言葉では、「実物商品」よりも「金融商品」の方が、より大きな成長力を見せたものの、この時の問題点は、「未熟な経済学」の存在により、「お金の謎」が解けていないだけではなく、「インフレを図る指数」が精度を欠いていた事実が指摘できるものと考えている。
そして、このような状況を利用して、「欧米の金融当局は、デリバティブの大膨張を容認した」という状況だったが、この点に関する注意事項は、「2010年前後を境にして、デリバティブの収縮が発生した可能性」だと感じている。つまり、「1997年から2010年前後」については、「世界的な信用収縮を救うために、OTCのデリバティブを大膨張させた」という状況だったものの、その後は、「バブル崩壊の隠ぺい」に対して、さまざまな目論見が実施されてきた状況だったものと想定されるのである。
しかし、現在では、「インフレ率」や「資源価格」などの上昇が止められない状況となっており、その結果として、「世界的な金利上昇」が始まったが、このことは、「先進各国の中央銀行が目論んできた金融市場のコントロール」が不能な状況に陥った可能性を示唆しているようにも感じている。つまり、「実体経済の成長」がもたらした「金本位制という通貨制度の制御不能状態」が「1971年のニクソンショック」だったものの、今回は、「信用本位制」が、間もなく、制御不能な状態に陥る可能性である。