本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.10.17
世界的な流動不足
現在、「世界的な流動不足」が指摘され始めているが、この理由としては、「中央銀行の限界」が指摘できるとともに、「政府の新たな決断」が求められている状況のようにも感じている。つまり、今までは、「中央銀行のバランスシート膨張」により、「国債の買い付け」と「超低金利状態の維持」が実施されてきたが、現在では、「中央銀行のバランスシート残高縮小」により、「世界的な金利上昇」が始まっていることも見て取れるのである。
別の言葉では、「金融システムの全体像」において、従来の流れは、「バブル崩壊で発生した不良債権を、より巨大な組織に移管しながら、隠蔽を図り、先送りする」というものだった。つまり、最初に、「民間企業や個人」、そして、その後に、「民間金融機関」へ移行した不良債権は、その後、「中央銀行」が受け取ったものの、現在では、「隠ぺいや先送りに限界点が訪れた結果として、流動不足が発生している状況」とも想定されるのである。
しかし、現在では、「中央銀行の赤字発生」という問題が、世界的に発生しかかっているために、今後は、「財務省を中心にした政府の対応」に注目が集まるものと思われるが、実際には、「中央銀行への資本注入」のことである。つまり、「赤字に陥った日銀を救うために、財務省が増刷した紙幣の供給による、日銀への資本注入」が考えられるが、このことは、「金融政策における最後の手段」とも言えるのである。
別の言葉では、「1945年の日本」と同様の政策が実施されるものと思われるが、今回の問題点は、やはり、「1971年のニクソンショック以降、私が提唱する信用本位制と呼ぶべき通貨制度が採用された状況」であり、また、「1980年の初頭から、デリバティブのバブルが発生した状況」とも理解できるのである。つまり、今までの「世界的なマネーの大膨張」、そして、これから想定される「世界的なハイパーインフレ」に関して、今までの「ハイパーインフレ」と、質的、量的な違いが存在する可能性のことである。
そのために、今後の展開については、今まで以上の注意を払う必要性があるものと感じているが、実際には、「デリバティブのバブル崩壊が、どのような展開で進展するのか?」ということであり、また、「今回の金融混乱の特殊性に気付いた人々が、どのような行動を取るのか?」ということである。そして、この点を理解するためには、「シュペングラーの西洋の没落」で指摘されている「大衆が、どのように形成され、その後、群衆への分裂が始まったのか?」、あるいは、「この点に関して、大膨張したマネーが、どのような役割を果たしたのか?」などを考えることが必要なものと感じている。