本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.10.18

ノーベル賞経済学者の破綻

2022年のノーベル賞も、結局は、「発展中の自然科学」と「未熟な社会科学」の落差を浮き彫りにした結果となったものの、今年の経済学賞で気になった点は、「バーナンキ氏の受賞が、25年前を彷彿とさせる状況」である。つまり、「1997年のノーベル経済学賞」については、「マイロン・ショールズ氏」と「ロバート・マートン氏」による、いわゆる「ブラック-ショールズ方程式」だったものの、彼らが創設した「ロングターム・キャピタル・マネージメント」については、「100万年に3回の確立」と計算されていた「ロシア国債の債務不履行」により、受賞翌年の1998年に破綻してしまったのである。

つまり、「理論と実践との違い」、あるいは、「経済理論の未熟さ」などが露呈した出来事でもあったが、その後の展開を考えると、今回の「バーナンキ氏などの受賞」についても、同様の結果となる可能性が高いものと考えている。別の言葉では、「金融システムの安定に貢献した」と言われる「バーナンキ氏」については、実際のところ、「2006年から2014年までのFRB議長在任期」において、「デリバティブのバブルを膨張させるとともに、リーマンショック後の混乱に際して、きわめて不十分な対応しかできなかった状況」とも理解できるのである。

より詳しく申し上げると、「日銀を見習って、いわゆる量的緩和(QE)を実施した」という状況のことだが、この点については、将来的に、非難される可能性が高いものと考えている。しかも、現在は、「金利やインフレ率の上昇とともに、世界的な金融混乱が加速している展開」となっており、今後は、「先送りされたデリバティブの処理問題」の発覚と同時に、「世界全体の金融システムが危機的状況に陥る可能性」の想定されるのである。

つまり、「1998年のLTCMショック」については、「民間金融機関の破綻」にすぎなかったものが、これから想定される「デリバティブの破たんショック」については、「世界全体の中央銀行や政府」を巻き込んだ、前代未聞の危機的な状態に陥るものと考えられるのである。

そのために、「11月の前半」を中心とした「今後の数か月間」については、最大の注意を払う必要性があるものと感じているが、実際のところ、「イギリスの金融混乱」、あるいは、「ドイツのエネルギー問題」などは、「大事件発生前の前兆的な役割」を果たしているものと思われるのである。より具体的には、「今までの大事件発生時において、約2ケ月前から、さまざまな事件が発生してきた状況」のことである。