本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.11.2

異次元金融緩和政策の破綻

「マイナス金利」と「為替介入」の共存については、「異次元の金融緩和政策が、すでに破綻している状況」を示唆しているものと思われるが、その理由としては、「限界が見えているにもかかわらず、なりふり構わず、現状を維持しようとする行為」が指摘できるものと考えている。つまり、現在の状況としては、「第二次世界大戦の終了時に、神風特攻隊などの非常手段に訴えたものの、結局は、体力の消耗を加速させた展開」と同様の意味を持っているようにも感じられるのである。

より詳しく申し上げると、「マイナス金利政策」については、「国債を発行した国家が金利を受け取る状況」というように、「国民から国家への資金移動」が発生しており、また、「為替介入」については、「マイナス金利政策の問題点」を隠蔽する目的が存在するものと思われるのである。つまり、現在は、「不健康な政府の債務膨張」という根本的な問題点に立ち向かうのではなく、依然として、「小手先の処理」で、問題の先送りを実施している状況とも考えられるのである。

そして、このような展開については、「過去の歴史」が教えるとおりに、「必ず、行き詰まりの時期を迎える」という結果となるものと考えているが、今回も、例外ではなく、しかも、時期的に近づいている状況のようにも感じている。つまり、「1991年のソ連」と同様に、「国債の買い手消滅」が引き起こす「金利の急騰」であり、その時には、「日銀が債務超過に陥る可能性」も想定されるのである。

別の言葉では、「日銀に対して、無制限の資本注入が実施される可能性」のことでもあるが、この点については、最近、「ノーベル経済学賞」を受賞した「バーナンキ氏」が、以前に、「日銀が、金融政策において、世界の主導者である」とも述べていたのである。つまり、「20年ほど前から、異常な金融緩和や国債の買い付けなど、禁じ手と呼ばれた政策を、次々と実施してきた状況」のことである。

そのために、今回も、「日銀が主導して、先進各国の紙幣増刷を主導する可能性」を憂慮している状況でもあるが、今回の注目点は、やはり、「500兆ドル(約7.4京円)ものOTC金利デリバティブ」と「330兆ドル(約5京円)もの世界的な債務残高」という「目に見えない金融ツインタワー」の存在であり、実際には、「金融ツインタワーの崩壊により、本格的な金融大混乱が始まり、また、インフレの大津波が、世界を襲い始める可能性」が想定されるようである。