本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.2.9
中央銀行の歴史的役割
100年余りの歴史しか持たない「世界各国の中央銀行」については、現在、同様の歴史を持つ「近代オリンピック」などと同様に、「歴史の検証」が必要な段階に入ったものと考えている。つまり、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」と同様に、「大都市の形成」が主な要因となり、「パンとサーカスの文明」が形成された可能性を考慮することであり、また、「文明法則史学」が教える「西暦1200年から2000年までの西洋の唯物文明」が終焉の時を迎えている可能性を検証することである。
別の言葉では、「戦後の26年サイクル」が指摘する「2023年の8月」が、「中央銀行の最終決断」に関する「刻限」のようにも感じているが、具体的には、「デフレ」が経済用語となった「1929年の大恐慌のパターン」か、それとも、「インフレ」が経済用語となった「1923年のドイツのハイパーインフレ」の、どちらを選択するのかが問われている状況のことである。つまり、現在では、「世界的な不動産バブルの崩壊」などをキッカケにして、「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」が完全崩壊の時期を迎えているのである。
より具体的には、現在、過去100年余りの期間にわたり、「世界的なマネーの大膨張」を支えてきた「世界各国の中央銀行」が、「紙幣の大増刷やCBDC(中央銀行デジタル通貨)の新設」などの方法により、「1923年型のハイパーインフレ」か、それとも、「金融引き締めの継続」により「1929年型の民間金融機関の連鎖破たんによる大恐慌」を選択するのか、という決断の時期を迎えているものと思われるのである。
このように、「中央銀行の歴史的役割」として挙げられる点は、結局のところ、「信用創造(マネーの創造)」という「どのようにしてマネーの残高を増やすのか?」という事実とも思われるのである。別の言葉では、「貨幣の大膨張がもたらす通貨価値の減少」を意味する「インフレ」に関して、「国民が気付かないような方法を駆使する使命」を持っていた可能性のことである。
しかし、現在では、世界中の人々が、「金融混乱の実情と本質」に気付き始めるとともに、世界各国の中央銀行が、「マネーの大膨張」に関して「紙幣の増刷」などしか、打つ手が無くなった状況とも言えるのである。そのために、現在は、「どのような形で、中央銀行の歴史的役割を終了するのか?」が問われる段階に入るとともに、これから必要なことは、「今後、どのような形で、東洋の時代が訪れるのか?」を理解することだとも考えている。