本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.2.8

米国債の信用リスク

「米国債の信用リスク」が、再度、マスコミの話題になり始めているが、今回は、今までとは違い、大きな注意が必要な状況のようにも感じている。つまり、多くの人々は、「1917年に米国債発行の上限金額法案が制定されて以来、今までに、数十回にわたり、上限金額が引き上げられてきた」という事実により、「今回も、同様のパターンが繰り返される」という楽観論を展開しているのである。

そのために、現時点で必要なことは、「今までと、どのような違いが存在するのか?」を考えることとも思われるが、実際には、「1980年代初頭から始まった世界的な金利低下が、すでに終了した事実」、あるいは、「戦後の26年サイクル」を理解する必要性が指摘できるものと考えている。つまり、現在では、「米国の国債発行残高」が、「31.4兆ドル(約4100兆円)」という金額にまで積み上がっているが、この理由の一つとしては、「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張」が挙げられるのである。

別の言葉では、「1971年のニクソンショック」をキッカケとして始まった「新たな通貨制度」、すなわち、私が「信用本位制」と名付けた「人々の信用を根本的な本位とする通貨制度」が、「コンピューターネットワーク発展」の恩恵を受けて、「大量の金融商品とデジタル通貨を産み出した状況」を理解することである。

そして、今後の注意点としては、最初に、「米国債の上限が引き上げられたとしても、誰が、その国債を買うのか?」という疑問点が指摘できるものと思われるのである。あるいは、「膨大に積み上がった債務残高に対する金利負担の問題」も想定されるが、実際のところ、「4%の金利から、単純に金利負担額を計算すると、年間で約164兆円(4100兆円×4%)の利払い」も予想されるのである。

しかも、今回は、私が注目する「戦後の26年サイクル」により「2023年8月15日」が気にかかる状況でもあるが、実際には、「1945年8月15日」から26年後に「ニクソンショック」が発生し、また、その26年後に「世界的な信用収縮がタイから始まった状況」のことである。そして、その後は、「2010年前後までの約13年間」に、「メガバンクが、オフバランス(簿外)でデリバティブの残高を積み上げた状況」であり、また、その後の約13年間は、「中央銀行のリフレーション政策」、すなわち、「国債の大量買い付けにより、国民が気付かないうちに、インフレ税の徴収が始まった状況」だったが、今後は、間もなく、「紙幣の増刷によるハイパーインフレ」が始まるものと考えている。