本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.2.20

世界的なドル離れ

現在、海外で盛んに議論されていることは、「世界的なドル離れ」であり、実際には、「BRICS諸国を中心に、金や銀などを本位とした新たな通貨制度の模索」である。あるいは、「米国ドルを中心とした現在の通貨制度」、すなわち、「国家の信用だけが本位となった信用本位制と呼ぶべき通貨制度」に対して、「米国の個人投資家」までもが、大きな疑問を抱くとともに、「貴金属などへの投資」を増やしている状況のことである。

より詳しく申し上げると、現在の「世界各国中央銀行による金や銀の大量購入」の理由としては、「金融混乱の加速懸念」が指摘されており、具体的には、「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」について、今回の「トルコの地震」のように、「広い範囲で、金融機関のパンケーキクラッシュが発生する可能性」が危惧され始めているのである。

より具体的には、すでに始まった「世界的な金利上昇」が、今後、「金利負担の増加」に繋がることにより、結果として、「世界的な不動産バブルの崩壊」や「デリバティブの完全崩壊」、あるいは、「国家財政の破綻」などを引き起こす可能性のことである。別の言葉では、「1980年代初頭からの世界的な金利低下やデリバティブの大膨張」に関して、「急激な逆行現象」、すなわち、「海中に押し込められていたビーチボールが、急速に水面下に上昇するような動き」が発生しているものと考えられるのである。

そのために、これから必要なことは、「サウジアラビアを含んだBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、そして、南アフリカ)が、今後、どのような動きを見せるのか?」に注目することだと考えている。つまり、「ドル以外の通貨による貿易の推進」であり、また、「新たな通貨制度を推進する動き」のことでもあるが、現在、「米国内」で言われ始めたことは、「BRICSに対抗して、アメリカそのものが、逆ニクソンショックを実施する可能性」であり、実際には、「1971年にニクソン大統領が一時的に停止した、金とドルとの交換を再開する可能性」である。

具体的には、「額面が一兆ドルのプラチナ硬貨」などを発行する方法のことだが、「金融混乱」に関して、過去の歴史が教えることは、最初に、「約6ヶ月間のハイパーインフレ」が発生し、その後に、「デノミ」が実施されるとともに、「新たな通貨制度の実施」という展開であり、今後は、この点に留意しながら、「どれほどの金融大混乱、そして、インフレの大津波が世界を襲うのか?」に、大きな注意を払う段階に入ったものと感じている。