本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2023.2.14

二種類の大地震

2月6日に発生した「トルコとシリア国境の大地震」には、大きな衝撃を受けたが、同時に感じたことは、東洋学が教える「天災が、天からの警告である可能性」でもあった。具体的には、「2011年の3・11大震災」に関して、熟慮の後に導かれた結論が、「その後に発生した『世界的なインフレの大津波』の予兆だった可能性」であり、実際には、「約10年という時間を経て、金融のブラックホールという仮想現実世界で形成されたデジタル通貨が、さまざまな金融商品のバブルを作り出した展開」のことである。

そして、現在では、その資金が、「現実世界の実物商品」に流れだした結果として、世界的な「インフレ」が実感され始めた状況となっているが、現在、必要なことは、「海中型と陸上型の二種類の大地震」の理解のようにも感じている。つまり、「3・11大震災のような海中型の大地震」に関しては、ご存じのとおりに、「人々が認識するまでに時間がかかるものの、気が付いた時には手遅れになっている状況」とも言えるのである。

また、一方の「陸上型の大地震」に関して理解できることは、今回のように、「ほぼ瞬間的に、大きな被害をもたらす展開」であり、また、このことを、現在の「世界的な金融情勢」に当てはめると、今後は、「金融面のパンケーキクラッシュ」が発生するものと思われるのである。具体的には、「クレディスイスの巨額損失」や「インドのアダニ財閥の不正会計」などが象徴するように、「ほぼ瞬間的に、資産価格が激減する状況」である。

より詳しく申し上げると、「信用が失われた金融資産や金融システムが、どのような末路を辿るのか?」ということでもあるが、実際には、「買い手や流動性の消滅」などにより、「資産価格の暴落」という展開が想定されるのである。つまり、「人為的な力を用いて、オフバランス(簿外)に積み上げられた資産」とも理解できる、現在の「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルものOTCデリバティブ」や「約330兆ドルもの世界債務残高」が、今後、どのような展開を見せるのか、ということである。

別の言葉では、「利は義の和なり」という東洋学の言葉のとおりに、「本物の利は、義という正当な行為でしか積み上げることができない」という状況でありながら、現在では、「不正な手段で築き上げられた大量の富が、世界的に存在する状況」とも言えるのである。つまり、「約五千年から六千年の歴史を持つ世界のマネー(お金)」に関しても、現在では、「目に見えないデジタル通貨」が主流となっているが、今後は、このことが「仇に(アダニ)」なり、「金融システムそのものが、パンケーキクラッシュに見舞われる可能性」である。